2019年11月12日
複雑な熱伝導経路を世界に先駆けてナノスケールで評価することに成功しました。

我々が利用しているエネルギーの大部分は熱として捨てられていますが、高効率な熱利用を実現するための精密熱制御が注目されています。精密熱制御を実現するには、ナノ構造化を図った先端エネルギー材料や熱デバイスの開発が必要です。そのためには微細構造と同時に熱の輸送を担うフォノンの振る舞いをナノスケールで理解する必要があります。そこで、まず透過電子顕微鏡内でナノ領域の温度が計測できるナノ熱電対を開発しました。本熱電対による精密温度計測と走査電子顕微鏡機能を応用した精密熱走査を組み合わせることで、次世代熱関連材料の開発に役立つ熱分析電子顕微鏡(STAM)法を新たに開発しました。本手法を放熱用複合材料に応用した結果、試料中の複雑な熱伝導経路を世界に先駆けてナノスケールで評価することに成功しました。
川本直幸 MANA主幹研究員
(2018年「Nano Energy」誌、2015/2011年「Nanotechnology」誌
Reference
Journal | Nano Energy 52 (2018) 323-328. |
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Title | Visualizing nanoscale heat pathways |
Authors | Naoyuki Kawamoto, Yohei Kakefuda, Isamu Yamada, Jianjun Yuan, Kotone Hasegawa, Koji Kimoto, Toru Hara, Masanori Mitome, Yoshio Bando, Takao Mori and Dmitri Golberg |
Affiliations |
International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA), National Institute for Materials Science (NIMS), Namiki 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan |
DOI | 10.1016/j.nanoen.2018.08.002 |