本文に移動 ナビゲーションに移動

[Vol. 51] 磁性の効果により増強された熱電変換材料

2019年07月17日

我々は弱い強磁性体と呼ばれる金属において、強磁性転移温度Tc付近で熱電能が急激に増大することを見出した。

リサーチハイライトVol.51 グラフィックス画像
FeドープFe2V(Al,Si)の温度依存熱電能。この物質はTc = 285 K以下で強磁性体であり、Tc付近で50%の熱電性能増強が認められる。これは、吸収した熱から電子へのエネルギー伝達効率が、スピン揺らぎにより促進されるためだと考えられる。

熱電変換は熱から電力を取り出すことができるため、IoTデバイスの動作電源として期待されている。このためには、熱電材料のパワーファクターを大きくすることが重要である。我々は弱い強磁性体と呼ばれる金属において、強磁性転移温度Tc付近で熱電能が急激に増大することを見出した。この現象は、熱から電力へのエネルギー変換が、スピン揺らぎによってより効率よく行われるためと理解される。これにより室温付近で動作する高性能の熱電材料開発が加速することが期待される。

辻井直人 主幹研究員
(2019年「Science Advances」誌)

Reference

Journal Sci. Adv. 5, eaat5935 (2019).
Title Observation of enhanced thermopower due to spin fluctuation in weak itinerant ferromagnet
Authors Naohito Tsujii, Akinori Nishide, Jun Hayakawa, Takao Mori
Affiliations International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA),
National Institute for Materials Science (NIMS), Namiki 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan
DOI 10.1126/sciadv.aat5935
ページトップへ