MANAの研究分野とメンバー、研究成果などに関する情報のご案内
「ナノアーキテクトニクス」とは
「ナノアーキテクトニクス(ナノ建築学)」とは、原子・分子からなる"ナノ部品"を組み合わせ、まったく新しい現象を発現させ、革新的な新規材料の創出を目指す概念です。
ナノは10億分の1メートル、つまり原子・分子サイズの世界であり、これまで半導体の微細加工等に貢献してきたマイクロテクノロジー(100万文の1メートル)とは、物質のふるまいがまったく異なります。
私たちは、精密に制御されたナノ構造同士を連携させ、新しい機能をもった材料を構築します。
このナノテクノロジーの新しい概念を、私たちは、「ナノアーキテクトニクス」と呼びます。
ナノアーキテクトニクスの重要なポイントは次の4点です。
曖昧さを含む構造によって信頼できる機能を実現する
マイクロテクノロジーの世界では設計図どおりに構造を構築できましたが、ナノテクノロジーの世界では一般にそれはできません。マイクロテクノロジーよりはるかに小さいナノテクノロジーの世界では、熱的および統計的な揺らぎがあらわになると同時に、制御法の原理的な限界に直面するからです。それゆえ、「曖昧さを含む構造によって信頼できる機能を実現する」という視点が重要です。
構造の構築から相互作用の組織化へ
ナノスケールの構造(“ナノ部品”)は、しばしば新鮮で興味深い特性を示しますが、単独あるいは単なる集合体としては、発現される機能には限界があります。同種または異種の“ナノ部品”の間に有機的な相互作用を効果的に生じせしめ、まったく新しい材料機能を創造する、「構造の構築から相互作用の組織化へ」の視点が重要です。
量が質を変える現象
巨大な数の“ナノ部品”からなる複雑系は、全体としてしばしば予期されなかった新しい機能を創発します。この「量が質を変える」現象を見逃さずに利用することが重要です。
大胆かつ適切な近似
上記3つの視点を守備範囲に入れうる、「ナノセオリー」とも呼ぶべき新しい理論分野の開拓が必要です。そこでは、原子、分子、電子、光子、スピンなどを第一原理的に扱うだけでなく、「大胆かつ適切な近似」を意識的に導入した理論体系の構築が求められます。