スクラップ鉄の現状と予測
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- スクラップ鉄とは?
- 一口にスクラップといっても色々あります。鉄鋼工場から発生する【自家発生スクラップ】、裁断、型打ちなどで発生する【加工スクラップ】、自動車シュレッダー、缶プレスなどの【老廃スクラップ】、輸入による【輸入スクラップ】
などです。今後は老廃スクラップが増えると思われます。老廃スクラップは生まれも雑多で何が入っているかわからないものが多くそれがリサイクルの障害となっています。
- 不純物の影響
- スクラップの中に含まれる不純物の中でも特に銅と錫は鋼の品質にもっとも影響が大きいやっかいものです。銅があると熱延のための加熱中に地鉄粒界に液相銅が侵入し粒界割れが起こります。そのため表面性状が著しく損なわれてしまいます(銅脆化)。また、錫が共存することで1000度から1100度の温度域でこのような銅脆化が起こります。
ここで問題なのは、これらの不純物はなかなか取り除くことがむずかしく、結局スクラップを重ねるごとにどんどん増えてしまうということです。
- 電炉と高炉
- 現在スクラップ鉄のリサイクルは30%近くが電炉で行われています。電炉プロセスは製銑工程がないため消費エネルギーが小さく、また地球温暖化の原因となる二酸化炭素発生量も少なくて、地球に優しいプロセスといえます。ただし現在の電炉では低級鋼の生産しかできず、高炉鋼に比べて品質の面で格段に劣っています。一方、高炉は大規模な製鉄所にある大きな炉ですから、大量に処理できますが、あくまでも【高級鋼を大量にしかも安価に製造する】ように最適化されており、不純物を含むスクラップ鉄を吸収するのは難しいと思われます。
以上のような経緯から電炉プロセスにおける材質改善がのぞまれます。ここで重要な鍵となるのは【急冷凝固】です。