不均質構造体における変形挙動と破壊のクライテリオン
- 研究の経過
- 構造材料は素材そのままで用いられることはなく,必ず溶接や接着などによる複合化によって適用されている。その際,従来の均質材を対象とした力学的性質(強度,破壊など)が意味を持たなくなる場合がある。不均質材の力学には,常に材料の不連続性をともなう界面が存在し,界面近傍における変形挙動を明らかにすることが必須である。
このような背景から,まずは界面近傍における変形挙動を弾性論から明らかにし,様々な材料の組み合わせや界面端の幾何形状に対する界面端の応力状態を示し,破壊のクライテリオンとして考えられるパラメータを示した。
また,微細粒鋼を溶接する際,組識の粗大化によって溶接継手内に軟化部が残存し,素材の強度を向上させても軟化部で破壊することが懸念された。
しかし,材料の組み合わせや軟化部周辺の幾何形状によっては軟化部で破壊することなく母材並みの強度を持つことを数値解析によって明示し,実験的にも検証され,微細粒鋼の実用化への問題点を取り除いている。