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DAY 2
最新材料技術展示会

NIMS最新成果ポスターセッション

オンサイト開催ならではの実物展示やデモは必見!

この7年間の中長期計画の下で培われ、この1年でNIMSが世に放った選りすぐりの成果53件とNIMSから羽ばたいたNIMS発ベンチャー9件が集結。詳細なポスターと実物展示によりNIMS新材料の進化を体感していただきます。毎年企業の皆様と数々の連携が生まれ、実用化の起点となっている新材料・新技術披露会です。

画像:DAY2ポスターのイメージ
展示時間 2022年11月15日(火) 10:00~15:05
コアタイム ① 11:50~12:50
② 14:05~15:05 開発した新材料・新技術について、研究者本人が対面でご説明いたします。一部、実物展示や簡単なデモをご覧いただけるものもございます。
展示場所 東京国際フォーラム [ホールB5] アクセス
ポスター言語 日本語

ポスター会場マップ

発表ポスター一覧

11/15[火]、会場で展示するポスターの概要をご紹介しています。ご興味のある技術・材料がございましたら「コアタイム(①11:50 - 12:50 / ②14:05 - 15:05)」や「NIMS研究者による最新成果講演」にお気軽にご参加ください。
A:バイオ・医療
A1

農業・医療応用に向けたAI嗅覚センサによる生体ガス測定

Biogas Measurements by AI Olfactory Sensors for Agricultural and Medical Applications

成果講演1

10:05 - 10:20(15

AI嗅覚センサ「MSS」の応用展開、特に農業や医療への応用を紹介する。 ヒトを含む動植物や細菌などの生体は、代謝をはじめとした活動により絶えず多種多様な化合物を産生・排出している。このうち、揮発性の化合物は「生体ガス」と呼ばれ、呼気に加え、皮膚・表皮、あるいは尿・唾液・血液などの体液などからも揮発しており、それらを精密に測定することで、生体の状態を迅速・簡便に把握することが可能となる。これら生体ガスに基づいた診断・評価技術について、医療機関や農畜産現場で得られた最新の成果について紹介する。

関連プレスリリース

嗅覚センサーと機械学習でニオイのデジタル化と見える化に挑む

A2

海水に混ぜるだけでリチウムを回収できるバイオ無機添加剤

Bio-inorganic additives that can recover lithium simply by mixing with seawater

成果講演2

10:20 - 10:35(15

レアメタルであるLiの資源問題が深刻化している。海水中に含まれる膨大なLiイオンの回収を目指して、Liインターカレーション材料を用いた電気化学的手法が提案されている。しかし、合剤電極の作製等、大スケール化には様々な課題が残っている。本研究では、発電細菌と酸化マンガンを海水に混合するだけで、高選択・効率的にLi回収を実現できることを見出した。発電細菌が自己組織化的に導電助剤とバインダーの役割を果たして、効率的な電気化学反応を実現していると考えられる。コスト的にも大スケール化が容易である本手法は、海水からのLi回収を社会実装可能にする高いポテンシャルを有していると期待できる。

A3

温めて塗るだけで傷を治す医療用接着剤

Hotmelt wound-healing medical adhesive

成果講演3

10:35 - 10:50(15

手術後に発生する癒着や出血などの合併症は臨床上大きな課題である。我々は、分子間相互作用を制御することで、加温によって液状になり、体温で硬化する「ホットメルト」特性を導入した接着剤を設計し、温めて塗るだけで手術後の傷を治す医療用接着剤を開発している。本発表では、開発した医療用接着剤の組織接着性・生体適合性・操作性や癒着防止効果について紹介する。

関連プレスリリース

温めて塗るだけで傷を治す医療用接着剤を開発 がん手術後の炎症を抑える粒子状の被覆材を開発

B:デバイス・装置
B1

磁性材料を用いた超低熱抵抗・フレキシブル熱流センサ

Ultra-low thermal resistance/flexible heat flux sensor using magnetic material

成果講演8

12:50 - 13:05(15

熱流センサは、熱の方向と大きさを高速検知することで、温度計では検出不可能な熱エネルギーのロスや微小な異常熱の発生等を捉えることができる。しかしながら、ゼーベック効果を用いた従来型の熱流センサは、熱抵抗が大きく、使用することで熱流が阻害されるという致命的な問題を抱えていた。NIMSでは、磁性材料の熱電効果を用いることで、低熱抵抗かつフレキシビリティの高い汎用性に富んだ新規熱流センサの開発を進めている。多くの技術者にまだ馴染みのない熱流センサの利点や使い道を検討頂けるよう、基礎原理から試作センサの動作までを紹介させて頂く。

関連プレスリリース

新機構の“横型”熱電効果を実証

B2

低温および中温熱源利用に適した温度差発電材料の開発

Development of thermoelectric materials for low- and mid-temperature waste heat recovery

NIMS熱電材料グループでは、次世代交通システムの構築に向けて、特に、路車間通信を可能とするバッテリーフリーの自立電源としての応用を見据えた、低温熱源利用温度差発電材料と、キロワット級中高温熱源を用いた温度差発電材料の開発を行っており、現状と課題を含めた最新の成果を発表する。

関連プレスリリース

世界初、汎用元素のみで構成する熱電発電モジュールの開発に成功

B3

量子センサの高感度化を目的としたNVセンタの形成について述べる。センサ感度向上にはNVセンタ濃度の制御とスピンコヒーレンス時間T2(あるいはディフェーズ時間T2)の向上が不可欠である。NIMSでは前者を制御する技術を開発したが、後者については途上である。本ポスターでは、NIMSにおけるNVセンタの研究状況を報告する。

関連プレスリリース

ダイヤモンドの単一NVセンタの光電流検出に成功 超高品質因子を持つダイヤモンドカンチレバーとそのセンサチップの開発に成功

B4

高感度磁気センサーとその応用の研究

Research of high sensitivity magnetic sensor and applications

Using the FeCoSiB amorphous wire with the length of 5 mm and the diameter of 0.1 mm, we developed pT-level high sensitivity magnetic sensor. This sensor has low noise, high dynamic range long-time stability. We are using this magnetic sensor to do nondestructive evaluation. [※本ポスターは英語での対応のみとなります]

B5

薄膜型熱電デバイス

Thin-film-based thermoelectric device

IoT機器の駆動電源として熱電変換モジュールを用いるためには、これらの一体化が必要となる。バルク材料で構成された熱電変換モジュールが主流であるが、モジュールの微小化や周辺電子素子との集積化に課題を抱えている。本研究では、多数の微小なπ接合を高い精度で作ることができる半導体微細加工技術により、熱電素子を試作した。高い電力因子を示すMg2Sn0.8Ge0.2をp型層として、n型層には室温薄膜形成が必要であることからビスマスを用いた。この熱電素子は、多数の微小なπ接合を作りつけることにより、IoT機器の駆動の目安となる0.5 V以上の出力電圧を実現した。

関連プレスリリース

IoT機器駆動に向けた微細化熱電素子を開発 熱電変換物質設計の新戦略 機械学習により薄膜作製プロセスの高速化を実現

B6

ダイヤモンド高移動度トランジスタ

Diamond high-mobility transistor

ワイドバンドギャップ半導体として優れた特性をもつダイヤモンド。パワーエレクトロニクスや情報通信分野での利用が期待されている。私たちは六方晶窒化ホウ素(h-BN)という材料と組み合わせてダイヤモンド電界効果トランジスタを作ることで、低損失・高速動作にとって重要な指標である移動度を大きく向上させた。特に、水素終端ダイヤモンドにアクセプタを付与しない新しい設計指針によって、高い移動度と安全性の観点から重要なノーマリオフ動作を両立することに成功した。

関連プレスリリース

ダイヤモンドで高移動度トランジスタを実現

B7

柔軟マクロ多孔体を用いた光学式触覚センサー

Optical tactile sensor using flexible macroporous monoliths

相分離を利用しゾル-ゲル法により作製される柔軟なモノリス型(塊状)多孔体内部で起こる光散乱の変化を検出することで、光学式触覚センサーを簡易に作製できる。発泡体と異なる応答性や触感をもつことから、材料技術を生かした新規センサーへの発展が期待できる。

B8

ビスマステルライド系を代替する室温近傍の新規ペルチェ冷却材料・熱電発電材料

Novel peltier cooling and thermoelectric power generation material to replace bismuth telluride

MgSb系材料にわずかな銅原子を添加することで、2つの熱高性能化効果が発現できることを発見した。それにより、大幅な熱伝導率低減と電荷移動度向上を両立させることに成功した。当該材料を使用した第一号機モジュールは、室温と320℃の温度差や室温近傍において、半世紀以上に亘りチャンピオンのBi2Te3系材料モジュールに匹敵する熱電変換効率やペルチェ冷却能力を実現した。この技術は、開発済み材料自体の性能から見積もられる理論効率などの性能は約1.5倍であり、モジュールの開発によるさらなる高性能化が見込まれ、希少元素であるTeをほぼ含まないことから、IoTセンサーの自立電源や省エネ発電機やペルチェなど幅広い分野での応用が期待される。

関連プレスリリース

半世紀以上熱電変換の最高性能を誇るBi2Te3系に匹敵する新規材料を開発

B9

熱指紋計測により物質・材料を判別する

Judging the material by thermal fingerprint

熱放射は物質の個性を反映し、物質が違うと熱放射も異なり、千差万別である。この特徴を物質の指紋として使用できるのでは?と考え、光やビームの照射の要らない、非接触な物質判別法を考案し、実証した。

関連プレスリリース

世界最高レベルの波長分解能を持つ分光型赤外線センサーを開発

C:材料信頼性
C1

簡単・無線・多用途: IoTのAEで製造加工の不良検出

Easy, wireless and versatile: AE in IoT for defect detection during manufacturing processes

成果講演12

13:50 - 14:05(15

製造加工プロセスの開発や管理の大きなニーズである「いつ、どこで欠陥が起きるのか」を「簡単に」知るために、無線・バッテリ駆動で試験導入も容易なアコースティック・エミッション(AE)計測装置を開発した。本装置は積層造形・溶射・接合のような高ノイズ環境でも利用でき、プロセス条件の最適化・異常検知・欠陥発生メカニズムの解明に貢献している。

C2

金属組織に関連する微視的疲労き裂の解析

Microstructurally small fatigue crack analysis

金属材料は微細組織を制御することで、強度や靭性などの機械的性質を担保している。しかしながら、疲労特性と微細組織との相関は未だ十分に理解されていない。疲労特性に微細組織が及ぼす影響を明らかにして、組織の制御や疲労破壊の防止に繋げるためには、微細組織に敏感なミクロな疲労き裂の発生と成長の挙動を把握する必要がある。本研究では、ミクロな疲労き裂の解析事例として、NIMSで開発した自動顕微鏡システムを特徴的な微細組織を有する718合金積層造形材とTi6Al4V合金鍛造材の評価に適用した結果を紹介する。また、新たな疲労き裂の解析手法として、シリアルセクショニングによる大規模な三次元解析事例を紹介する。

C3

高温超音波疲労試験

High-temperature ultrasonic fatigue testing

ガスタービン等で使用される材料のギガサイクル疲労特性を評価するためには、高温超音波疲労試験方法の確立が必要である。約10年前に高温超音波疲労試験装置を開発したが、超合金や積層造形材を対象に新たな実験を行うことで、装置の完成度を高めるための試験実績の積み増しを行う。また、試験方法の規格標準化や装置の製品化にも取り組む。

関連プレスリリース

耐熱1000℃、高温・高速金属疲労試験装置の開発に成功

C4

有限要素法によるマルチマテリアル部材の腐食挙動シミュレーション

Finite element method simulation of corrosion behavior on multi-material structures

近年、脱炭素化に向けた自動車の軽量化が重要視されており、鉄鋼材料の一部をアルミニウム合金などの軽量材料に置き換える「マルチマテリアル化」が進められている。しかし、ガルバニック腐食(異種材料接触腐食)の発生などが課題である。本研究では、実験と計算科学(有限要素シミュレーション)をあわせた研究アプローチにより、マルチマテリアル部材の腐食機構の解明に取り組んでいる。

C5

腐食しやすい金属材料のための電気化学水素透過試験

Electrochemical hydrogen permeation test method for corrosive metallic materials

金属材料中の水素の拡散挙動を検討するには「電気化学水素透過試験」という手法がよく用いられてきた。しかし、本手法は主に鉄鋼材料にしか適用できず、MgやAlなどの材料では試料が腐食してしまいうまく測定できないという課題があった。本研究では、水素導入側と水素検出側に使われる溶液を工夫することで、腐食しやすいMg系材料の電気化学水素透過試験を可能にした。

D:情報
D1

MIntの内部計算機技術およびAPI活用事例

Internal computing technology of MInt and examples of API utilization

成果講演7

11:35 - 11:50(15

金属用MIシステム(MInt)は複雑なソフト・ハード構成からなる。これを安定的にかつ安全に運用するためには、さまざまな計算機・セキュリティ・監視の技術が活用されている。また、MIntで扱うデータはMInt内にとどまらず、外部データベースとの連携・活用が重要である。ここでは、MIntを構成する計算機技術の全体像について記し、またMIntと連携するAPIやデータ連携技術について述べる。

関連プレスリリース

SIP研究成果を社会実装するためのマテリアルズインテグレーションコンソーシアム発足

D2

科学原理の知識データベースを用いた材料開発

Knowledge database of scientific principles for material research

専門分野が細分化され、専門外の知識が有効活用されず、従来の延長線上から抜け出すことが困難な状況である一方、革新的材料・一見発想の飛躍と見える発見は、専門分野に囚われずに科学原理を俯瞰することで達成されてきた。物質の多くの性質(電気伝導率、光吸収特性、生成エンタルピーなど)の間には、互いに科学原理に基づいた様々な関係が存在するが、分野が離れていると関係性に気づくことが困難である。そこで、物性間の関係性をデータベース化して関係性の探索が可能なシステムの開発を行っている。これにより、俯瞰的材料探索を可能にし、実験・計算データが少ない・無いという問題にも助けを提供する。

D3

高機能電気化学インピーダンス解析プログラム開発

High functional program for electrochemical impedance spectroscopy

等価回路解析に加え、最新の緩和時間分布解析、簡易人工知能による自動解析機能なども含む統合型電気化学インピーダンス解析プログラムである。高度なグラフィックユーザーインターフェイスの活用により、モデル構築すら悩むデータであっても簡単に解くことが可能である。電気化学インピーダンス解析に困っている方にうってつけである。

関連リンク

フリーの電気化学インピーダンス解析ソフトを公開

D4

測定データの自動閾値推定法

Automatic threshold estimation method for measurement data

物理現象の解析において用いられる閾値の自動推定についての研究である。例えば、光電子収量分光法では、試料に照射する紫外線のエネルギーを横軸にとり、試料から放出される光電子を測定して縦軸とした場合、その測定データが描く曲線が急峻に立ち上がる点を閾値として求める。一般に、測定データは理想的な環境では閾値までが0、その後は物性に則った関数に従って変化する。これらの解析は、人によって行われており、解析のばらつきや膨大な解析時間などが問題である。本自動推定法では、Softplus関数を評価関数とし、平均絶対誤差法を最小化関数として用いることにより、閾値及び誤差の自動推定とともに、解析に用いている物理モデルとの差について評価することが可能である。

D5

第一原理電子状態計算プログラムPHASE/0の開発

Development of first-principles electronic structure calculation program PHASE/0

近年、材料研究において計算機によるシミュレーションの必要性がますます高まってきている。特に、材料特性の裏にあるメカニズム探求、新規物質の物性予測に力を発揮すると期待され、更なる大規模化、高速化、多様な解析機能が望まれている。NIMSで開発しているPHASE/0は高速な計算を可能にすると共に、誘電率計算、EELS計算などの多様な物性解析機能の有する。また、GUIや付属ツールを充実させることにより、計算実行、結果解析を容易にしている。本プログラムにより、電池・電子デバイスなどの材料開発、現象・物性のメカニズムの理解などの進展が期待できる。

D6

ニオイのデジタル化と見える化に挑む

Digitalization and visualization of odors

限られたニオイサンプルの中で基準となるニオイ「擬原臭 (ぎげんしゅう) 」を選定する技術を嗅覚センサーと機械学習を利用し開発した。この擬原臭という新概念を導入することで、様々なニオイを擬原臭として選定された数種類のニオイの混合比で表す「デジタル化」が可能となる。これにより、色のように、ニオイも分解・合成が可能となり、ニオイの記憶、学習、送信、理解、さらには見える化も促進できる技術である。

関連プレスリリース

嗅覚センサーと機械学習でニオイのデジタル化と見える化に挑む

D7

大規模第一原理計算プログラムCONQUESTの開発

Large-scale first-principles calculations code CONQUEST: development and applications

第一原理計算は、実験結果に依存せずに原子・電子の振る舞いを量子力学にもとづいて計算する信頼性の高い手法であるが、計算量が膨大であり、計算できる系のサイズに限界があった。この問題を克服するために我々は100万原子を含む大規模系に対しても第一原理計算を可能とするプログラムCONQUESTを開発した。プログラムは最近オープンソースライセンスで公開され、一般の研究者が無償で使うことができる。本発表では、CONQUESTによってどのような研究が可能となったのか最近の研究例をもとに紹介する。

D8

光電子スペクトル解析ツール:大量データを一括で自動解析

Photoelectron spectrum analysis software: Automatic batch analysis of large amounts of data

実験や計算により得られる計測・計算データから背後に潜む構造を抽出する技術の開発および活用は、材料開発の高速化を目指すマテリアルズインフォマティクスにおいて重要である。本ポスターでは、光電子スペクトルデータに着目し、ピークを抽出する汎用的なアルゴリズムを紹介し、それを活用して、「参照スペクトル」に基づく化合物の同定および構成比率を求めるアルゴリズムを紹介する。

D9

パーシステントホモロジーを使った新しい材料記述子の開拓

Exploitation of new material descriptors using persistent homology

パーシステントホモロジー(PH)という数学的な手法が複雑な幾何構造解析に使用される例が多くなってきている。電子顕微鏡で得られるアモルファス像は複雑で一見すると識別不可能と思えるものだ。我々は透過型電子顕微鏡(TEM)像から得られる不定形な画像に、PHと機械学習を組み合わせた新しい手法を適用し、高い精度でアモルファス状態と液体状態の識別に成功した。

関連プレスリリース

世界初、液体中の原子1つ1つの運動を観察 !

E:エネルギー・環境
E1

蓄電池基盤プラットフォーム

NIMS Battery Research Platform

成果講演9

13:05 - 13:20(15

蓄電池基盤プラットフォームは、JST ALCA-SPRINGと連携し、次世代蓄電池の研究開発を優先支援するために2014年に設立された。オールジャパンでの研究推進のため、大学・独法・民間企業・その他機関に対する支援もあわせて実施している。2019年度先端研究設備整備補助事業による新たな共用設備の運用も開始した。試験用電池の試作・評価に加えて、個別材料あるいはセルレベルでの分析評価までをカバーする多様な設備を備えており、電池試作・評価、分析手法検討からハイスペック装置群を利用した解析までの一貫したサポートを行っている。

E2

Mg金属電池用高活性負極材

Highly active anode materials for rechargeable magnesium batteries

成果講演10

13:20 - 13:35(15

Mg金属負極はMg金属電池の心臓部でありながら、加工のしにくさから長年見過ごされてきた要素材料である。本発表では、Mg金属電池電解質開発を専門とする研究者と、構造材料としてのMg合金の開発を専門とする研究者がタッグを組み、世界に先駆けて開発した高活性Mg負極材について報告する。NIMSが世界に誇る金属加工技術を電池材料開発に展開することで、高エネルギー密度のMg金属電池の実現に道筋をつけることに成功した。

関連プレスリリース

合金設計技術を応用してマグネシウム金属電池の容量向上に成功

E3

磁気冷凍による水素液化

Hydrogen liquefaction by magnetic refrigeration

成果講演11

13:35 - 13:50(15

極低温における能動的蓄冷式磁気冷凍(AMRR)を実現し、このシステムによる水素の液化に成功した。本研究により、磁気冷凍法による実用的な水素液化が実証され、低コストで省エネルギーな水素液化プラントの開発に一歩前進した。

関連プレスリリース

革新的水素液化技術への挑戦

E4

触媒材料開発のためのマルチスケール計算ライブラリの構築

Tools for catalytic reaction study via multi-scale computational methods

本発表では、カーボン・ニュートラル社会の実現にとって重要なエネルギー材料である、触媒の開発を加速するためのマルチスケール計算のためのpythonライブラリを紹介する。本ライブラリでは、第一原理計算に基づいた微視的反応速度論計算の実行、さらには流体力学計算に必要なインプットの生成を行う。

E5

高容量正極材の合成反応の可視化

Visualization of synthesis reactions of high-capacity cathode materials

電気自動車や電力貯蔵用途としてリチウムイオン電池の需要が急速に高まり、更なる高性能化には高容量型次世代正極材料が必要とされている。本研究では、ブラックボックスとなっている材料合成プロセスを可視化し、高容量化を阻む原因をリアルタイムで究明すべく、X線吸収分光法による高温材料のその場観察を実現した。

E6

ドライエアでうごくリチウム空気電池

Lithium-air battery in dry air

リチウム空気電池はエネルギー密度が高く、電池の軽量化や大容量化が期待できる。しかしながら、出力に乏しく用途が限られることや、実際の空気中ではほとんど動かすことができず純酸素のような高濃度酸素雰囲気の下でしか動かせないことなどが実用電池開発の壁になっている。その中でリチウム空気電池正極の空げき率を高め、酸素を取り込みやすいスカスカな構造をつくることで、出力特性を大きく改善できることがわかった。リチウムイオン電池並みの放電出力を取り出すことや、通常大気と同じ酸素濃度~20%のドライエア下でも動かすことができるようになっている。私たちはこのようなリチウム空気電池による実用電源に向けた技術開発を行っている。

関連プレスリリース

リチウム空気電池の実用化を阻む、充電電圧上昇の原因を特定 カーボンナノチューブ空気極により超高容量なリチウム空気電池を開発

E7

メタンからのCO2無排出水素製造

Production of Turquoise Hydrogen from Methane

大気中CO2濃度の上昇を伴わない「クリーン水素」の安価・大量供給に向けたシステム・材料開発を紹介する。

関連プレスリリース

温室効果ガスを光照射で水素や化学原料に変換 温室効果ガスを有用な化学原料に転換

E8

全固体電池電解質の焼結特性制御

Controlling sinterability of electrolytes for solid batteries

安全性に優れ、高性能な次世代電池として期待される酸化物型全固体電池の作製方法として、電解質を緻密に焼結するとともに電極活物質との接合を達成する焼成プロセスが期待されるが、高温における焼成により電解質/電極活物質界面に高抵抗な異相が生成する恐れがある。異相の生成反応を抑制することを目的とした焼成プロセスの低温化に向けた、酸化物固体電解質の焼結性を向上させるための取り組みについて発表する。

F:製造・加工技術
F1

液体が”ツルツル”滑り落ちるフッ素フリー撥水・撥油塗料の開発

Fluorine-free omniphobic superslippery coating

成果講演4

10:50 - 11:05(15

撥水・撥油膜は、防汚・防錆・防氷・防曇・抗菌性表面への応用が期待されている。超撥水塗料が実用化しているが、透明性・機械耐久性・撥油性に課題がある。撥水・撥油性の実現のために、フッ素素材が使われることも少なくなく、環境への影響が懸念される。本発表では、液体がツルツル滑り落ちる撥水・撥油性、透明性、機械耐久性を両立した汎用塗料を開発した。本塗料はガラス、アルミ、プラスチック、ゴム、ステンレス基板に浸漬・スプレー・キャストすることで成膜可能である。また、この塗料はフッ素フリーで、水・油・有機溶媒・フッ素液体を傾斜角1度で滑落可能である。

F2

レーザ3Dプリンタによるニッケル単結晶の造形法開発

Development of a fabrication technique of a nickel single crystal via laser 3D printing

成果講演5

11:05 - 11:20(15

金属粉末レーザ3Dプリンタにおいて、照射面強度分布が均一でビーム半径が大きい(フラットトップ)レーザを、ニッケル粉末に照射することにより、欠陥が少なく、結晶の方向がそろった単結晶を造形することに成功した。破壊の起点となる結晶粒界をなくした単結晶は高温強度に優れている。本手法は種結晶不要のため製造工程の簡素化の面でも有利である。今回の技術を他の金属や合金の単結晶の造形に応用していくことが可能である。特に、航空機エンジンやガスタービンでは部品形状の複雑化や軽量化が進んでおり、安価で普及率が高いレーザ方式による造形が可能になれば、世界的に単結晶材料の研究・開発が加速する。

関連プレスリリース

レーザ方式の粉末3Dプリンタでニッケル単結晶の造形に成功

F3

耐腐食ナノシートコーティング

Anticorrosion nanosheet coating

成果講演6

11:20 - 11:35(15

高結晶性、化学安定性、耐熱性、柔軟性を有する酸化物ナノシートをステンレス(SUS)上に簡便、低コストな自己組織化法で成膜することで、10 nm膜厚でも優れた防錆効果を発揮することを明らかにした。酸化チタンコーティング膜では、塩水噴霧試験、実装走行試験において著しい防錆効果が確認され、さらには、水素アニール処理を施したCa2Nb3O10ナノシート膜を用いた場合、400℃における耐熱酸化性を付与できることがわかった。電気化学腐食評価から示されたほぼ完全な腐食抑制効果(99.5%) を得るには液相法では10 μm以上の膜厚が必要であり、100 nm以下で同等の腐食抑制効果を得るためには原子層堆積法等の高価な気相法が必要である。

F4

金属積層造形プロセスにおける熱履歴の予測と最適化

Prediction and optimization of thermal history in metal additive manufacturing process

金属積層造形法(Additive Manufacturing)のひとつであるレーザ粉末床溶融結合法(Laser Powder Bed Fusion, L-PBF)は、レーザ照射により原料の金属粉末層を選択的に溶融凝固させて、任意形状の金属部材を製造する。プロセス中の熱履歴は、微細組織の形態やサイズを左右し、結果として部材の材料特性に影響する。そこで本発表では、有限要素法による熱解析モデルを用いてニッケル基合金部材の造形プロセス中における熱履歴を予測した事例について、温度モニタリングとの比較や凝固マップの構築なども交えて紹介する。また、熱解析モデルに基づいたプロセス条件の最適化フレームワークを示す。

F5

積層造形装置用のレーザー吸収率測定装置の開発

Development of laser absorptivity measurement system for additive manufacturing

積層造形において使用される粉末材料の種類は増えているが、レーザーによる積層造形で造形に影響するパラメーターの一つであるレーザー光の吸収率が分かっている材料は限られる。そこで、既存の積層造形装置を用いて、吸収率の温度依存性の測定を試みたので紹介する。

F6

溶接Digital Transformationの実現に向けたAI技術の活用

Welding digital transformation using artificial intelligence technology

機械学習(AI)技術は「何か」から「何か」へと変換するモデルを構築する技術であり、「何か」は数値データに限らない。入力(溶接条件)-出力(溶接部特性)関係が複雑である溶接分野でもAI技術は有効活用できる可能性が高い。本ポスターでは、これまでに実施してきた、溶接技術の高度化に向けたAI技術の活用事例を紹介する。

F7

負のポアソン比を持つメタマテリアルの力学的挙動に及ぼす形状最適化と境界拘束の効果

Effects of geometry optimization and boundary constraint on the mechanical behavior of auxetic metamaterials

Auxetic metamaterials exhibit a negative Poisson's ratio and desirable energy absorption characteristics. This makes them excellent candidates for crash protection applications. An evaluation of the effect of constraint and geometry optimization on the mechanical behavior of an auxetic metamaterial is presented. [※本ポスターは英語での対応のみとなります]

F8

析出強化型耐熱材料設計システムの開発

Development of search system of precipitation-strengthened high-temperature materials

発電プラントや内燃機関のエネルギー効率向上のため、高温特性の優れた耐熱材料の開発が必要である。NIMSではこれまでに、析出制御により既存材料よりも優れた耐熱鋼・耐熱チタン合金を提案してきた。しかし、従来の実験手法のみの開発では時間や予算の制限による限定的・非効率的な試行錯誤しかできない。そこで、計算機で新規耐熱材料・製造プロセスを網羅的・効率的に試行錯誤・探索するシステムが必要だと考える。まずは任意の合金組成・温度・熱処理時間における析出組織を迅速に予測するプログラムを作成した。これを情報工学に基づく最適解探索アルゴリズムと連成させることで、所望の析出組織を有する合金・プロセスを探索できるシステムを開発中である。

F9

Mg合金の使用環境と用途に適した耐食被膜の開発

Corrosion control coatings for structural and biodegradable Mg alloys

軽量構造材料としてだけでなく医療用の生体内溶解性金属材料としても注目されているMg合金の耐食性改善のため、用途に応じた耐食被膜の開発を行っている。高耐食性が求められる軽量構造材料用途には、腐食抑制剤を含む層状複水酸化物被膜の開発を行っている。患部の治癒に伴い吸収されることが求められる医療用途には、骨置換する炭酸アパタイト被膜などのアパタイト被膜の開発を行っている。

F10

NIMSオンリーワン装置を用いた材料創製技術

Manufacturing and engineering using inimitable equipment only for NIMS

材料創製・加工ステーションの鍛造シミュレータグループは1500トン鍛造シミュレータをはじめとするNIMSオンリーワン加工・熱処理装置を用いてNIMSの高度な研究を支えるとともに、国内の材料科学技術全般の水準向上に貢献するため産学独の幅広い研究コミュニティとの共用化に取り組んでいる。本ポスターでは当グループのNIMSオンリーワン加工・熱処理装置を用いた技術を紹介する。

F11

材料創製・加工

Materials Manufacturing and Engineering

材料創製ステーションは、NIMSの最先端の研究を「研究支援」「ものづくり」の観点から支援する部署となり、材料創製グループは、金属材料研究のための素材溶製から塑性加工(溶解・鍛造・圧延・熱処理等)の材料創製に関わる一貫した設備と技術を保有している。また、「共用設備の有効利用」と「技術共用・移転」を目的に外部への「材料創製技術の開放」を行っている。

F12

微細加工オープンファシリティ

Nanofabrication Open Facility

産学官の研究開発促進のために開かれている微細加工プロセス共用施設である。主に、次世代半導体材料・デバイス等の基礎研究を行う場として、多くの民間企業・大学等の研究技術者に利用されている。多種多様な材料に適応した微細加工プロセス装置を配備し、数mm角の小さな試料からウェハサイズでの試作が可能で、基礎研究から応用開発まで様々なフェーズの研究開発をサポートする。

G:先端計測
G1

放射線量測定のためのLaボレート・ガラス

La-borate glasses for radiation dosimetry

A promising thermoluminescence material, Ce:LaB3O6 (LBO) glass, whose constituents are abundant & cheap and production is low-cost & reproducible, is developed for radiation dosimetry. It shows an excellent linear TL response covering ~ 5 orders of radiation dose range, and it can be cyclically irradiated and read. [※本ポスターは英語での対応のみとなります]

G2

3次元で原子分布を見るアトムプローブ法

Atomic-scale investigation by 3D atom probe

3次元アトムプローブ法は、軽元素を含む全ての元素の分布を3次元で可視化できる唯一の手法である。ナノスケール領域の元素分布を高い空間分解能と数十ppmオーダーの検出感度で解析することが可能で、精緻なナノ組織解析により材料の機能性向上や特性発現メカニズムを解明し、材料開発や特性向上に寄与することができる。

G3

触媒材料のその場TEM観察

In-situ observation of catalytic materials

透過型電子顕微鏡は原子レベルの観察・分析ができる計測手法の一つであるが、真空での観察となる。私達は、触媒材料をその場観察するために、ガス雰囲気で加熱ができる試料ホルダーを開発・改良してきた。ガス雰囲気を形成できる試料ホルダーや顕微鏡は市販もされているが、分析手法との併用を考慮し、私達は差動排気機構を試料ホルダーに取り付けるという独自の方法を採用した。このシステムを用いて、ナノ粒子触媒やNIMSで開発した新規触媒のその場観察を行った。反応雰囲気下での触媒の構造変化だけでなく、化学結合状態や価数の変化を分析し、反応過程や劣化過程を調べた。

NIMSで開発したオペランド水素顕微鏡の紹介。この顕微鏡は、試料の背面から水素を供給し、透過する水素をイオン化して透過位置を画像化する。水素環境で利用する構造材料、水素の拡散バリアを施した改質表面等の、水素画像を取得する事ができる。

G5

高温拡散NMRによる電池材料の評価

Application of high-temperature pulsed-field-gradient NMR

全固体電池は安全性・利便性に優れているため実用化に向けた様々な研究が行われている。NMR法はLiイオンの伝導を直接観測することが出来る数少ない測定手段である。固体材料中のLiイオンの伝導は室温では遅いため400℃程度まで昇温して拡散現象を観測できる装置を開発し、電池材料の評価を行った。

G6

高分解能液体セル透過型電子顕微鏡技術

High-resolution liquid-cell transmission electron microscopy

炭素コートSiNメンブレンと間隙スペーサーを備え頑強で繰り返しの使用が可能な高分解能TEM/STEM観察用の液体セルを開発した。収差補正STEMにおいて本液体セルを用いることで、容易に液中のナノ粒子などの構造やダイナミクスを原子分解能その場観察することが可能となった。

関連プレスリリース

サブナノスケールで磁気構造を可視化する電子顕微鏡技術の開発

G7

文部科学省 マテリアル先端リサーチインフラ

Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan

文科省委託費事業である、「マテリアル先端リサーチインフラ」について、事業全体の紹介と、NIMSが担当する2つの重要技術領域(量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアルとマテリアルの高度循環のための技術)について、主な支援内容と主要設備を紹介する。

関連リンク

物質・材料研究機構 マテリアル先端リサーチインフラ(NIMS-ARIM)

H:NIMS発ベンチャー
H1

株式会社オキサイド

Oxide Corporation

H2

株式会社コメット

Comet Inc.

H4

合同会社アキューゼ

Aquze LLC

H6

株式会社プリウェイズ

Priways Co., Ltd.

H7

株式会社Thermalytica

Thermalytica Inc.

H8

株式会社Qception

Qception Corporation

H9

中和科学株式会社

Scirntia Concors