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2次元物質の稠密配列単層膜を1分間で形成する技術を開発

~ナノシートを用いた各種デバイスの工業的製造に道~

2017.06.29
(2017.07.01 更新)


国立研究開発法人物質・材料研究機構

NIMSの研究グループは、酸化物ナノシートやグラフェンなどの2次元物質を、1分程度の短時間で基板上に隙間なく単層で配列する新技術を開発しました。

概要

  1. 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (理事長 : 橋本和仁) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の佐々木高義拠点長らの研究グループは、酸化物ナノシートやグラフェンなどの2次元物質を、1分程度の短時間で基板上に隙間なく単層で配列する新技術を開発しました。本技術により、煩雑な操作を必要とし製膜にかかる時間が長いなどの従来プロセスの問題点が一掃され、ナノシート1)を用いた各種デバイスの工業的製造を前進させると期待されます。
  2. グラフェンや酸化物ナノシートなどに代表される2次元物質は、原子~分子レベルの薄さと究極の2次元形状を持ち、それに基づいて様々な優れた機能 (高速電子伝導、高誘電性、高い触媒性など) を発現するため、エレクトロニクス、環境、エネルギー技術など広範な分野に技術革新をもたらす期待が高く、世界中で精力的な研究開発が進められています。2次元物質は多くが有限の横サイズ (マイクロメートルレンジ) を持ったシート状物質が溶液中に分散したコロイドとして得られるため、その優れた機能をフルに引き出してデバイス化するためには、これらを様々な基材の表面にちょうどトランプを並べるように秩序正しく配列させることが第一のステップとして求められます。すなわちナノシートを隙間や重なりを生じさせることなく、単層膜として配列させることが重要な要素技術となっています。この単層膜形成が達成されればこれを反復することにより、多層膜や超格子膜2)を構築することができ、多彩な機能開発が可能になると期待されます。このような稠密単層膜の形成には、現状では主にラングミュア・ブロジェット (LB) 法3)が適用されていますが、熟練した操作、複雑な条件設定が必要であることに加えて、製膜に通常1時間程度を要するため、工業的製造を想定する上では現実的ではなく、大きなネックとなっています。そのため簡便かつ短時間で製膜できる工業化可能な技術の開発が強く求められています。
  3. 本研究では、酸化物ナノシートやグラフェンの有機溶媒ゾルを基板上に少量滴下し、適切な回転数でスピンコート4)するという簡便な手順により、約1分間という極めて短時間 (LB法の数十分の一) でナノシートを稠密配列できることを見出しました。基板を回転させることによる遠心力とナノシート同士、ナノシートと基板表面の間に働く力のバランスにより、ナノシート間の重なり、隙間の発生が抑えられ、原子レベルで平滑な単層膜が形成できます。さらにこの操作を反復することにより、ナノシートの厚み単位で制御された多層膜のレイヤーバイレイヤー構築が可能であることも確認されました。本技術は様々な組成、構造の2次元物質に適用可能であり、かつ様々な形状、サイズ、材質の基材上に製膜できることが確認できており、普遍性の高い製膜技術といえます。
  4. 今回の成果は全く新しいメカニズムで2次元ナノシートの稠密配列を達成したもので、学術的にも高い新規性を有していることに加えて、ナノシートの応用の鍵となる稠密配列単層膜~多層膜の構築を簡便な操作、短時間プロセスで可能とするため、ナノシートを用いた実用デバイスの工業的製造に道を拓く画期的な成果と位置付けられます。
  5. この研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金基盤研究 (A) 「2次元無機ナノシートのヘテロ累積による新奇機能開拓」の支援を受けて得られたものです。
  6. 本研究成果は、現地時間6月30日午後2時 (日本時間7月1日午前3時) に米国科学雑誌Science Advancesのオンライン版で発表されます。(DOI: 10.1126/sciadv.1700414)

「プレスリリース中の図2 : 酸化チタンナノシートゾルをシリコン基板上でスピンコートした様子。基板上でゾルの薄い層ができ、その厚みが徐々に薄くなることによって、干渉色が変化していき、最終的に乾燥する。下段はナノシートの稠密配列のメカニズムを示す模式図。」の画像

プレスリリース中の図2 : 酸化チタンナノシートゾルをシリコン基板上でスピンコートした様子。基板上でゾルの薄い層ができ、その厚みが徐々に薄くなることによって、干渉色が変化していき、最終的に乾燥する。
下段はナノシートの稠密配列のメカニズムを示す模式図。




本件に関するお問合せ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
拠点長 佐々木高義 (ささき たかよし)
TEL : 029-860-4313
E-Mail: SASAKI.Takayoshi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
准主任研究者 馬仁志 (ま るんじ)
TEL : 029-860-4124
E-Mail: Ma.renzhi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
TEL : 029-859-2026
FAX : 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
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