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透過型電子顕微鏡のEDS分析のエネルギー分解能を一桁向上

新開発の分光装置により、ナノ組織の超高精度分析を実現

独立行政法人物質・材料研究機構
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社
国立大学法人九州大学
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
日本電子株式会社

NIMSは、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社、九州大学、JAXA、日本電子株式会社と共同で、マイクロカロリメータ型X線検出器を透過型電子顕微鏡に搭載した分析装置の開発に成功し、従来のエネルギー散型X線分光より一桁以上高いエネルギー分解能でのX線分光スペクトルの取得に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝、以下NIMS) は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (代表取締役社長 : 北野 進) 、国立大学法人九州大学 (総長 : 有川 節夫) 、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 (理事長 : 立川 敬二、以下JAXA) 、日本電子株式会社 (代表取締役社長 : 栗原 権右衛門) と共同で、マイクロカロリメータ型X線検出器を透過型電子顕微鏡に搭載した分析装置の開発に成功し、従来のエネルギー分散型X線分光より一桁以上高いエネルギー分解能でのX線分光スペクトルの取得に成功した。今後はナノスケールで高精度組成分析の実現を目指す。
  2. 分析機能を付与した透過型電子顕微鏡は、高い空間分解能で極微細組織解析を行えることから、幅広い研究分野で基盤的なツールとなっている。X線分析はその組成分析に広く用いられているが、従来の半導体検出器はエネルギー分解能が130-140eVと低いため、近接するX線ピークが分離できなかった。材料やデバイスの構造や組織の微細化が進むなか、透過型電子顕微鏡を用いた組成分析精度の向上が強く求められており、その実現にはエネルギー分解能を飛躍的に向上させることが緊要の課題となっていた。
  3. 本研究では、従来型とは異なる検出原理に基づくX線検出器である「超伝導遷移端センサ」を透過型電子顕微鏡に応用することによって、7.8eVという高いエネルギー分解能を達成した。それにより、これまで分離不可能だった多くの多重ピークを分離し、ほぼ全元素からのピークを分離した高精度組成分析を可能にした。同時に、微量元素の検出能力も大幅に向上した。
  4. ナノテクノロジー・材料やバイオテクノロジー等の幅広い研究分野で基盤技術として用いられる透過型電子顕微鏡における組成分析精度が大幅に向上することは、それらの研究分野の進展に大きな波及効果をおよぼすことが期待される。
  5. 本成果は、文部科学省リーディングプロジェクト「次世代の電子顕微鏡要素技術開発」 (主査 志水隆一 国際高等研究所上級研究員) における研究課題「TEM用マイクロカロリメータ型X線検出システムの開発(平成18年度–20年度、研究代表者 原 徹)」によって進められ、今回の成果を達成した。今回の成果は、Journal of Electron Microscopyにおいて近日中に公開されるとともに、9月27日から長崎県佐世保市で開催される国際会議FEMMS09(The Twelfth Frontiers of Electron Microscopy in Materials Science http://www.femms2009.org/)において発表される。

「写真1 透過型電子顕微鏡–マイクロカロリメータEDS分析装置の外観<br />(a) 透過型電子顕微鏡、(b) TES型マイクロカロリメータ検出器(内部)、(c) 希釈冷凍機、(d) 機械式冷凍機とその防音ボックス、(e) 半導体検出器によるEDS分析装置検出器(b)は、希釈冷凍機(c)によって70mKまで常時冷却されて動作している。なお、写真外に補機類を収める防音室および制御卓がある。写真1. 透過型電子顕微鏡–マイクロカロリメータEDS分析装置の外観<br />(a) 透過型電子顕微鏡、(b) TES型マイクロカロリメータ検出器(内部)、(c) 希釈冷凍機、(d) 機械式冷凍機とその防音ボックス、(e) 半導体検出器によるEDS分析装置検出器(b)は、希釈冷凍機(c)によって70mKまで常時冷却されて動作している。なお、写真外に補機類を収める防音室および制御卓がある。」の画像

写真1 透過型電子顕微鏡–マイクロカロリメータEDS分析装置の外観
(a) 透過型電子顕微鏡、(b) TES型マイクロカロリメータ検出器(内部)、(c) 希釈冷凍機、(d) 機械式冷凍機とその防音ボックス、(e) 半導体検出器によるEDS分析装置検出器(b)は、希釈冷凍機(c)によって70mKまで常時冷却されて動作している。なお、写真外に補機類を収める防音室および制御卓がある。写真1. 透過型電子顕微鏡–マイクロカロリメータEDS分析装置の外観
(a) 透過型電子顕微鏡、(b) TES型マイクロカロリメータ検出器(内部)、(c) 希釈冷凍機、(d) 機械式冷凍機とその防音ボックス、(e) 半導体検出器によるEDS分析装置検出器(b)は、希釈冷凍機(c)によって70mKまで常時冷却されて動作している。なお、写真外に補機類を収める防音室および制御卓がある。




お問い合わせ先

研究内容に関すること
独立行政法人物質・材料研究機構
ナノ計測センター 先端電子顕微鏡グループ 主任研究員
原 徹 (はら とおる)
TEL: 029-860-4599
FAX: 029-860-4700
E-Mail:電子メールアドレス
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社
研究開発部 主任
田中 啓一 (たなか けいいち)
TEL: 0550-76-5009
FAX: 0550-86-1036
E-Mail:電子メールアドレス
国立大学法人九州大学
大学院工学研究院エネルギー量子工学部門 准教授
前畑 京介 (まえはた けいすけ)
TEL: 092-802-3481
FAX: 092-802-3483
E-Mail:電子メールアドレス
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部 高エネルギー天文学研究系 研究系主幹・教授
満田 和久 (みつだ かずひさ)
TEL: 042-759-8132
FAX: 042-759-8455
E-Mail:電子メールアドレス
日本電子株式会社
EM事業ユニット EM2技術グループ 研究員
大田 繁正 (おおた しげまさ)
TEL: 042-542-2227
FAX: 042-546-8063
E-Mail:電子メールアドレス
報道担当
独立行政法人物質・材料研究機構 
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宇宙科学研究本部 科学推進部
〒229-8510 神奈川県相模原市由野台3-1-1
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