「高温超伝導体を利用した世界初の超1GHzNMR装置の開発」
NMR (核磁気共鳴) は強磁場発生磁石 (NMR磁石) を用いることにより、物質・材料の分子構造などを精密に調べることができる分析技術である。磁場が高ければ高いほどNMRの感度と分解能が向上するので、高磁場化はNMRにとって最も重要な開発課題の一つである。従来技術では磁場強度1000MHzを超えることができないことが懸案課題となっていた。
本開発では高温超伝導体を用いたNMR磁石を作るために必要な要素技術の開発を行うことにより、世界で初めて1000MHzを超えて1020MHzというNMR磁石の世界最高磁場を発生させることに成功した。また、実際にNMR測定を行い、高磁場の有効性を実証した。
本開発により、高温超伝導体がNMR磁石へ応用可能であることが実証され、1200MHzまたはそれ以上の高磁場を可能とするNMR新時代への突破口を開いた。また、MRIや超伝導リニアなど他の超伝導応用分野においても高温超伝導体を実用化できる可能性を示した。
本成果は、タンパク質などの生態関連物質の構造を解明することにより創薬に貢献し、有機材料・無機材料における非晶質・不均一構造等を解明することにより新材料開発に貢献する。