環境制御観察グループ

メンバー

橋本 綾子 (HASHIMOTO, Ayako)
SAMURAI

エネルギー・環境材料研究センター 電池材料分野 環境制御観察グループ グループリーダー

竹口 雅樹 (TAKEGUCHI, Masaki)
SAMURAI

エネルギー・環境材料研究センター 電池材料分野 環境制御観察グループ 主席研究員


1.その場透過電子顕微鏡観察

材料の特性は微細な構造と密接に関係しており、材料研究や開発では微細構造の解析はとても重要です。透過電子顕微鏡観察(TEM)は、原子レベルで構造を解析する有力なツールの1つです。しかし、電子線を利用しているために観察材料は真空中に置かれ、材料が実際に使われる環境とはかけ離れた状況となります。そこで、私達のグループでは、その場・オペランドTEM観察、特に、ガス雰囲気や液中での観察を行っています。TEM内に観察試料を入れる試料ホルダーは顕微鏡とは独立しており、開発・改良が容易に行えるため、私達はその場観察用の試料ホルダーを作製しています。最近の微細加工技術により、厚さ数mmのホルダー先端部分にいくつものパーツを入れて、さまざまな環境を作り出せるようになってきました。また、作製した試料ホルダーを使って、その場観察も進めています。構造や組成の変化を捉え、高効率化・長寿命化・低コスト化のカギとなる反応・劣化メカニズムの解明に向けて取り組んでいます。

2.ガス雰囲気中のその場観察

ガス反応触媒のその場観察のために、ガス加熱試料ホルダーを開発しました。市販のホルダーでは隔膜を使ったものが多いですが、私達のところでは、隔膜を使わず差動排気効果を利用して、ガス雰囲気を作り出す試料ホルダーも作製しました。隔膜がないので、TEM内で行う化学状態分析や位相計測に膜の影響を与えません。触媒のその場観察では、触媒粒子の微細構造の変化だけでなく、化学状態分析を併用して、酸化・還元反応を局所的に捉えています。

「開発したガス加熱試料ホルダー」と「その場観察の様子」

「開発したガス加熱試料ホルダー」(左)と「その場観察の様子」(右)

3.液中でのその場電子顕微鏡観察

液体セル(LC)透過型電子顕微鏡法(TEM)は、液体を封じ込めた環境セルを用いて試料の液中その場観察を行う手法です。電子線が透過可能な薄い膜を通して液中試料をTEM観察することができます。LCTEMは、試料の形状や構造だけでなく、化学反応を高空間分解能で観察できることから近年注目を集めています。しかしながら、高解像度観察には未だ多くの課題があり、広く一般には普及していません。私達のグループでは、 2軸傾斜LCやグラフェンLCなど、高解像度観察に最適なセル膜材料や手法を研究しています。また、光照射機能や電気化学機能を備えた新しいLCホルダーを開発し、光触媒や電気触媒のその場TEM観察の応用研究を行っています。

「2軸傾斜電気化学液体セルホルダー」、「硫酸亜鉛(化学式:ZnSO4)の電気分解によるPt電極へのZnデンドライト成長その場STEM観察」、「水とチタン酸ストロンチウム(化学式:SrTiO3)界面の原子分解能STEM観察」

「2軸傾斜電気化学液体セルホルダー」(左)、「ZnSO4の電気分解によるPt電極へのZnデンドライト成長その場STEM観察」(中央)、「水とSrTiO3界面の原子分解能STEM観察」(右)

  • National Institute for Materials Science
  • NIMS Researchers Directory Service