研究開発責任者
内本 喜晴
京都大学 大学院人間・環境学研究科 教授
研究開発の概要
蓄電池を社会実装するためには、材料探索・開発のみならず、空間・時間的に広範囲にわたる階層反応の解析を行い、合剤電極構造を含めた電池構造を最適化することが必要となります。特に、実電池になると反応分布や温度分布などといった不均一現象が現れ、電池の安全や劣化等の特性が大きく変化します。蓄電池は密閉構造で可視化が容易でないため、このような不均一現象解明するためには、電池作動条件での“その場”で観察を行う、新しい高度な解析技術の研究開発が必要です。これらの現象は非平衡状態であるため、時間分解能の大きな放射光を用いた“その場”測定が有効な解析ツールとなります。
高エネルギー放射光X線の高い物質透過能、高い時間・空間分解能を利用し、蓄電池作動条件下での反応を直接観測し、不均一機構を解明するツールを開発します。この不均一現象をX線吸収・回折・散乱やイメージング解析などの複数の放射光解析を組み合わせることにより理解し、各種プロトコルの作成に寄与します。