講演要旨
原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡の探針先端を一酸化炭素や希ガスなどで終端することで分子の内部構造を直接的に観察できるようになった。この顕微鏡技術のパラダイムシフトにより、過去10年にわたり表面分子化学に大幅な進展が起きた。我々は、この技術を用いて単分子や自己組織化膜、化学反応の開発、また、生成物の構造評価を行った。例えば、規則的な位置にホウ素原子をドープしたグラフェンナノリボン(GNR)や、窒素も導入したGNRの合成に成功した。これら平坦なGNR以外にも、三次元構造のGNRも実現した。本発表では、原子や小分子、さらに高分子鎖で終端した原子間力顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡を用いた単分子レベルの構造や機能の解析について報告する。