NIMSは、特定国立研究開発法人として、物質・材料分野における研究開発成果を創出、普及および活用し、産学官連携を通じて我が国のイノベーションシステム構築をリードしています。本センターは、産官連携強化のために設けられた、企業との「組織」対「組織」の共同研究を推進するこれまで10あった研究センターに新たに加わることとなります (本センター設立によって研究センター数は11となります) 。NIMSの2016年4月からの第4期中長期計画においては、経済・社会的課題に対応する重点研究領域を複数の研究拠点で分担して推進しています。このうち、社会インフラ材料、輸送機器材料、エネルギーインフラ材料の3つの出口分野に向けた革新的なシーズの創出とその産業界への橋渡しを担当する構造材料研究拠点が、本センター運営の中心的な役割を担うことになります。同拠点には、耐熱・耐食合金、複合材料等の創製技術のほか、1966年以来の長年の実績があるクリープ試験を始めとする材料試験や原子・分子レベルに至る先端構造解析などの基盤技術を有する多数の優れた研究者が所属しており、本センターの研究課題に対して最適なチーム構成で臨みます。
IHIは、総合重工業メーカーとして、資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4つの事業分野を中心に、「技術をもって社会の発展に貢献する」という経営理念に基づいてものづくり技術を中核とするエンジニアリング力で社会課題の解決に貢献しています。グループ全体の中長期的な技術戦略として、3つのメガトレンド「多様化する社会インフラ」「加速する高度情報化」「複雑化する世界経済」に対応するための技術開発の方向と、注力する技術分野を定めています。注力技術である材料技術、構造強度技術等の基盤技術およびそれらに基づくエネルギーマネジメント技術、先端生産技術・生産プロセス革新技術等が集約されているのが、本センターの目指す次世代高効率航空機エンジンです。本センターでは、NIMSで取得した超高温材料を中心とした組織、特性、プロセスに係る材料データを基に生産を視野に入れた設計指針を構築し、高性能材料の早期実用化を着実に進めることで、将来的に航空機エンジン事業に貢献しうる成果創出を目指します。