カーボンナノチューブにおける単一有機発光中心の決定論的形成
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カーボンナノチューブ上での光化学反応による量子欠陥形成の模式図と、形成された量子欠陥を示す励起PL画像
私たちの研究グループは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)における単一有機発光中心の世界初の決定論的形成に成功しました。この画期的な技術により、量子欠陥の数・位置・発光波長を精密に制御でき、室温で動作し通信波長帯で発光する量子通信デバイスの実現に新たな道を開きます。
この技術の核心は決定論的単一分子修飾法にあります。光化学反応をリアルタイムで監視し、個々の量子欠陥が形成された瞬間に即座に反応を停止することで、狙いどおりに量子欠陥を形成できるようになりました。ここでは、量子欠陥の数を正確に1個に限定し、サブミクロン精度で位置を決定し、カーボンナノチューブの構造選択により発光波長を調整します。
技術的アプローチ
私たちの手法は、光化学反応プロセス中に連続的なフォトルミネッセンス(PL)モニタリングを行います。単一の量子欠陥が形成されると、その特徴的な発光信号を検出し、500ミリ秒以内に化学反応を即座に停止します。この高速応答時間が、複数の欠陥形成を防ぐ鍵となっています。
光化学反応制御システムは、ナノチューブ上に個々の有機発光中心が形成される際のフォトルミネッセンス強度の離散的な変化を監視することで、単一分子レベルの検出感度を達成しています。単一量子欠陥形成の成功率は77%に達し、サブミクロンの空間分解能により、量子発光体製造における決定論的制御の大きな進歩を示しています
成果と性能
光子相関測定により、g^(2)(0) = 0.45という明確なアンチバンチング挙動が観測され、発光中心の量子性が確認されました。これらの量子発光体は室温で動作し、通信波長帯(1300-1600 nm)で発光しながら、優れた光安定性と単一光子放出特性を示します。
今後の展開
現在、私たちはこれらの量子発光体とフォトニック回路の集積化に取り組み、決定論的制御の成功率を90%以上に向上させることを目指しています。また、この技術を他のナノ材料プラットフォームへ展開し、実用的な量子通信デバイスの開発を進めています
論文発表
Nano Letters (2025年): “Deterministic Formation of Single Organic Color Centers in Single-Walled Carbon Nanotubes” DOI: 10.1021/acs.nanolett.5c02378