ニュース

周偉男ICYSリサーチフェロー、桜庭裕弥グループリーダー、内田健一上席グループリーダー、佐々木泰祐グループリーダーらは、熱電材料と磁性材料を積層したシンプルな構造を用いて、熱流と直交方向に電界を生む「横型」熱電効果を飛躍的に増大できることを世界で初めて実証しました

2024.03.08
 周偉男 (ICYSリサーチフェロー)、桜庭裕弥グループリーダー (磁気機能デバイスグループ)、内田健一上席グループリーダー (スピンエネルギーグループ)、佐々木泰祐グループリーダー (ナノ組織解析グループ)らは、熱電材料と磁性材料を積層したシンプルな構造を用いて、熱流と直交方向に電界を生む「横型」熱電効果を飛躍的に増大できることを世界で初めて実証しました。

 今回、研究チームは、熱電材料と磁性材料を積層し電気的に接触させた極めて単純な構造において現れる「ゼーベック駆動横型磁気熱電効果」により、異常ネルンスト効果をはるかに超える横型の熱電能を得られることを世界で初めて実験的に実証しました。理論モデルにより横熱電能を増幅する熱電材料と磁性材料の膜厚比率を予測し、大きなゼーベック効果を示すシリコン (Si) 上に、膜厚を制御した磁性材料鉄ガリウム (Fe-Ga) 薄膜を積層することで、最大で15.2 μV /Kの出力を観測しました。これはFe-Ga単体の異常ネルンスト効果 (2.4 μV /K) のおよそ6倍もの性能向上に相当します。

 本成果は、熱電材料と磁性材料を接触させただけの極めて単純な二層構造で、横型熱電効果を増大できることを実証したものであり、熱電発電技術などの実用デバイスへの汎用性の高さが大きな特徴です。今後は、社会の省エネルギー化に資する熱電発電デバイス応用に向け、実用上求められる体積の大きなバルク材料を含めて研究を展開させていきます。
 本研究成果は、2024年3月6日付で学術誌「Advanced Science」誌にオンライン掲載されました。

  • Direct-contact Seebeck-driven transverse magneto-thermoelectric generation in magnetic/thermoelectric bilayers, W. Zhou, T. Sasaki, K. Uchida, Y. Sakuraba, Adv. Sci., 2308543 (2024).
  • Page top