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研究課題

 DXMagでは、「データ活用促進グループ」を中心に「材料創製グループ」、「計測評価グループ」、「理論計算グループ」が一体となり、大規模先端施設、NIMSに設置されるデータ中核拠点、マテリアルリサーチインフラ事業、磁石MOP、産業界と連携して、下記の研究課題1~3の研究開発を推進しています。

研究課題1:新規機能性磁性物質探索・材料設計

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)が急速に発展し、成功事例が積み上がる一方で、材料開発に利用できるデータが足りない「スモールデータ問題」が顕在化している。考えうる材料の構造と組成には無限のバリエーションが存在し、広大なマテリアル空間を効率よく調べる材料設計手法が求められている。
本課題では、以下の3つの要素技術を統合した物質探索・材料設計の方法論の確立を目的とする。
・「富岳」上でのハイスループット計算、高速合成システムや先端計測設備で創出される実験データ、独自のテキストデータマイニングにより、マテリアルデータを大幅に拡充する。
・各手段で得られる多様なマテリアルデータを一元的に管理し、機械学習手法や画像解析手法などの解析を全て一つのプラットフォームで実施できるようにする。
・広範囲に及ぶ高次元のマテリアルデータをデータ科学を用いて解析し、材料設計に有用な情報を抽出する。
対象には、ストレージ材料・メモリ材料・磁気センサー材料・磁気冷凍材料・磁石材料・軟磁性材料・熱電材料・磁歪材料など磁性材料全般を含め、上記の方法論を適用して磁性材料マップを作成する。ここで得られたデータの一部については、NIMSの計算熱力学データベースとも共有し、状態図の視点からの材料探索・開発に活用する。
・ハイスループット計算・データ科学、自動合成、先端計測・解析を融合させた磁性材料DXの方法論を確立する。
・上記手法を用いて磁性材料マップを作成する。

プロジェクト リーダー
三宅 隆
(AIST)
【参画機関】 産業技術総合研究所、東北大学、物質・材料研究機構、大阪大学、東京工業大学、東海国立大学機構名古屋大学、北陸先端科学技術大学院大学、東北学院大学


研究課題2:AI駆動型オンデマンド永久磁石開発

 

 カーボンニュートラルなどの実現に向けた電動化社会の到来に伴い、駆動モータ用の永久磁石材料の需要は急速に拡大する。
これに迅速に対応するには、資源的な観点で大量消費が可能なR2Fe14B系やRFe12系などのR-Fe系磁石に、用途に適した性能を持つ磁石をオンデマンドで迅速に開発する必要がある。
そこで本課題では、データ駆動型研究を新たに取り入れて、求められる磁気特性を有する磁石の作製プロセスが迅速に得られる「データ駆動型(DD)磁石シミュレータ」を開発し、産業応用に適した磁石開発を加速する手法を開拓する。
磁石組成やプロセス条件、組成設計に必要な熱力学データ、微細構造の特徴量、磁気特性のデータを創出・蓄積し、これらのデータを活用してオンデマンドの特性を持つ磁石材料を開発するツールを整えて磁石開発研究を変革することで、サプライチェーンに影響されない次世代高性能磁石材料を開発する。

プロジェクトリーダー
高橋 有紀子
(NIMS)

【参画機関】 物質・材料研究機構、東北大学、東海国立大学機構名古屋大学、、高輝度光科学研究センター



研究課題3:データ駆動設計に基づく軟磁性材料・デバイス開発

軟磁性材料はモータコアやパワーエレクトロニクス(以下、パワエレ)におけるインダクタ・トランスなどの受動素子、さらには移動高速通信の信号品質維持に不可欠なノイズ抑制素子など幅広い産業分野を通じて我々の社会生活を支えている。一般的な軟磁性材料の要求特性としては低保磁力かつ高磁束密度が挙げられるが、応用分野毎に動作周波数は数10 Hz~10 GHz超と幅広く分布する。動作周波数に対して磁気ヒステリシス(鉄損)の物理起源は大きく異なり、それぞれの物理起源に基づいた最適な材料およびデバイス設計が求められる。また高機能な軟磁性材料は微量元素を多く含む多元素系であり、また非平衡相かつ複合組織形態であることも特徴である。従来の膨大な試行に頼る材料開発手法では探索可能なパラメータ空間は限られており、また開発スピードやコストなども問題となっていた。
本研究では、データ駆動型研究を展開することによりこれら課題を解決し、従来手法では困難な各動作状態に最適化された軟磁性材料およびデバイス開発を目的とする。
 

プロジェクトリーダー
岡本 聡
(東北大学) 
【参画機関】  東北大学、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、東北マグネットインスティチュート、トーキン




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