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世界最大426%の磁気キャパシタンス変化率の観測に成功-超高感度磁気センサー・メモリーとして期待-

2022.05.20
  慶應義塾大学大学院理工学研究科佐藤健太(修士2年生)、同大学理工学部海住英生准教授らは、物質・材料研究機構介川裕章主幹研究員(スピントロニクスグループ)、ブラウン大学物理学科の萧鋼教授と共同で、世界最大のトンネル磁気キャパシタンス(TMC)効果の観測とそのメカニズム解明に成功しました。TMC効果とは、磁場によりキャパシタンス(電気容量;電気が溜まる量)が変化する現象です。この現象は2つの磁性層の間に薄い絶縁層を挟んだ磁気トンネル接合において観測されます。磁気感度を示すキャパシタンス変化率はこれまで最大で332%でした。今回、「絶縁層の工夫」と「電圧印加」により、世界最大となる426%の変化率を達成しました。さらに、量子力学と統計論を取り入れた誘電体理論によりそのメカニズムを解明しました。この成果は、新たな電気容量検出型の高感度磁気センサー・磁気メモリー誕生への道を切り拓くものです。
  本研究成果は科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。オープンアクセスです。

Large magnetocapacitance beyond 420% in epitaxial magnetic tunnel junctions with an MgAl2O4 barrier
K. Sato, H. Sukegawa, K. Ogata, G. Xiao & H. Kaiju
Scientific Reports 12, 7190 (2022) | DOI: 10.1038/s41598-022-11545-6
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