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佐々木泰祐主幹研究員、大久保忠勝副拠点長、宝野和博フェローらは、需要が急増しているネオジム磁石の作製条件を変化させて得た実験データに機械学習を適用することにより、効率的な磁石の高特性化に成功しました

2021.11.16
  佐々木泰祐主幹研究員、大久保忠勝副拠点長、宝野和博フェローらは、電気自動車などの駆動モーター用磁石として需要が急増しているネオジム磁石について、その作製条件を変化させて得た実験データに機械学習を適用することにより、最小限の実験回数で磁石特性を最大化できることを実証しました。

  カーボンニュートラルの実現に向け、自動車のみならず様々な輸送機器の電動化が進められているなかで、モーターに使われるネオジム磁石にも用途に応じた様々な特性が要求されるようになっています。最強の磁石材料であるネオジム磁石は原料となる磁石粉末を成形して焼き固めたり、高温で加工するなど、複雑な工程によって作製されます。

  磁石の特性は原料合金の組成や製造工程での温度や加工条件によって大きく変化するため、ネオジム磁石の特性改善には上記条件の無数の組み合わせを最適化する必要があります。

  今回、NIMSの研究チームは、従来の焼結磁石よりも優れた高温特性が期待されている熱間加工ネオジム磁石に着目し、その作製条件と特性のデータを機械学習することにより、優れた磁気特性の発現が期待される作製条件を予測しました。また実際にその予測にしたがって作製すると、磁石としての特性を効率的に最大化できることを実証しました。通常、機械学習を行うには少ないとされる、わずか18点の初期データを用いて、アクティブラーニングによる特性予測と作製実験を繰り返すと、40回程度の追加実験で磁気特性を大きく向上させることができました。
プレスリリース中の図 : 作製した熱間押出ネオジム磁石の外観写真および機械学習前後の試料の磁気特性と、アクティブラーニングによる実験条件最適化プロセス
  本成果はScripta Materialia誌に2021年11月7日にオンライン掲載されました。

  • Optimization of direct extrusion process for Nd-Fe-B magnets using active learning assisted by machine learning and Bayesian optimization [Click here to download PDF (*This article is open access.)], G. Lambard, T.T. Sasaki, K. Sodeyama, T. Ohkubo, K. Hono, Scr. Mater. 209, 114341 (2022).
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