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Hossein Sepehri Amin ナノ組織解析グループ研究員らがゴットフリード・ワグネル賞2015を受賞しました

2015.07.01
  6月30日(火)グランドハイアット東京にて、第7回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2015」の発表及び授賞式が開催され、Hossein Sepehri Amin ナノ組織解析グループ研究員らにゴットフリード・ワグネル賞<マテリアル部門>が授与されました。

  本賞は、日本を研究開発の拠点として活動しているドイツのグローバル企業9社によるプロジェクトで、日本の若手研究者支援と科学技術振興、そして日独の産学連携ネットワーク構築を目的としています。モビリティ、マテリアル、ライフサイエンス、エネルギーとインダストリーの4部門における応用志向型の研究で、日本の大学・研究機関に所属する若手研究者を対象に授与されるものです。受賞者には賞金のほか、副賞としてドイツでの研究滞在のための助成金が授与されます。
【受賞者】<マテリアル部門>

  • Hossein Sepehri Amin 磁性材料ユニットナノ組織解析グループ研究員
  • (チームメンバー) 秋屋 貴博 磁性材料ユニットナノ組織解析グループ ポスドク研究員
  • 【受賞研究概要】

  • 「粒界エンジニアリングによるジスプロシウムフリー高特性ネオジム磁石の開発」

      「ネオジム磁石は、電気自動車の駆動用モーターや風力発電機などに広く用いられ、省エネルギー社会の実現を支えうる材料である。しかし、耐熱性が低いという問題があるため、装置稼働時の発熱による磁力の劣化に耐えられるように、保磁力、すなわち磁石の磁力にさからって磁場をかけた時、磁石が磁力を失う磁場を高める必要がある。現在、保磁力を高めるために、ネオジム磁石は重希土類元素のジスプロシウムなどを用いて作られている。しかし、ジスプロシウムが資源として乏しい希少金属であることや、耐熱温度の向上と引き換えに磁力が低下することから、ジスプロシウムを使わずにネオジム磁石の保磁力を高める手法の開発が望まれている。そこで、物質・材料研究機構のホセイン・セペリアミン氏らは、組織観察と計算シミュレーションといった手法を駆使して、ネオジム磁石における微細組織と保磁力の関係を研究し、多結晶であるネオジム磁石の個々の結晶粒同士の境界である粒界部で、鉄濃度が低いほど保磁力が高まることを突き止めた。さらに、低融点で非磁性のネオジム-銅合金を粒界に沿って浸透・拡散させる手法を開発し、粒界の鉄濃度を下げるとネオジム磁石の保磁力が効果的に高まることを見出した。またこの手法を、焼結磁石に比べて微細な結晶粒から成る熱間加工磁石に応用したところ、ジスプロシウムを4wt.%含む商用のネオジム焼結磁石と同等の性能を有するネオジム磁石を、ジスプロシウムフリーで作り上げることに成功、ネオジム磁石の汎用への可能性を開いた。」
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