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世界で初めてカーボンナノチューブの局所的な温度分布を直接観察

Pedro M.F.J. Costa ( アベイロ大学、ポルトガル )
Ujjal K. Gautam ( ジャワハルラール・ネルー先端科学研究所JNCASR,インド )
板東 義雄 ( MANA主任研究者 )
Dmitri Golberg ( MANA主任研究者 )

走査トンネル顕微鏡プローブを持つ透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、1本のカーボンナノチューブに電流を流しナノチューブ接合部における局所的な温度分布を動的に観察することに世界で初めて成功した。これにより、ナノレベルの分解能かつミリ秒の高速でCNT接合部における温度変化を観察することが出来るとともに、本手法を活用した局所的な温度分布の計測や画像化は、ナノデバイスの接合部評価法としての応用が期待される。

本研究の成果は、日本時間2011年8月10日0:00(現地時間9日16:00)に英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版で公開された。

図1 硫化物を満たしたカーボンナノチューブの両端を金電極に接合し、加熱した透過電子顕微鏡観察結果。 左図から右図にいくほど、ホットスポットが端部から中央部に移動している。挿入図はナノチューブにおけるホットスポットの拡大写真。硫化物が昇華してできた空洞が温度を表すマーカーとして機能している。チューブが電極と均一に接合された後は両端の電極はヒートシンクとして働き、電極の温度は室温に保たれる。スケールバーは0.5 µm



図2 電気加熱したカーボンナノチューブのチューブ内における直径方向の温度分布 左図:電気加熱によりカーボンナノチューブ内に封入されたZn0.92Ga0.08S硫化物が一部昇華して、鋭い円錐針形状を示している。ここで点線はナノチューブの主軸を示している。 右図:ナノチューブを横断する方向(左図の白枠)における温度分布を示している。硫化物の昇華温度(928 K=655℃)は円錐針の表面と一致し、ナノチューブ中心部で温度が最低、ナノチューブ壁部で最高温度を示す。




記事・報道

■新聞
日刊工業新聞(2011年8月10日15面)
鉄鋼新聞(2011年8月10日5面)
科学新聞(2011年8月11日12面)


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