
これらの目標に向けて様々な技術開発が産業界および国家プロジェクトにおいて進められている中で、「富岳」のようなスーパーコンピュータの性能を最大限活用する、物質・材料に関するシミュレーション・データ(AI)科学技術の開発・発展が、国際競争を勝ち抜く上で必要不可欠となってきました。
このような中、私たちが提案した「次世代二次電池・燃料電池開発によるET革命に向けた計算・データ材料科学研究」課題(略称:「富岳」電池課題)が、文部科学省補助事業・「富岳」成果創出加速プログラムに採択されました。
本課題では、平成26年度ー令和元年度に実施されたポスト「京」重点課題⑤において育成された人材、整備されたアプリケーション(アプリ)資産、構築された産官学間の連携体制・人的ネットワークを総動員して、二次電池および燃料電池の微視的反応機構を理解・解明し、かつ次世代電池開発に向けたシミュレーション・データ材料科学技術の社会実装を強力に推進することを目標としております。
熾烈な国際競争の中での我が国の新規電池材料開発・実用化に貢献しつつ、エネルギーに関わる物理・化学・材料科学をつなぐ新しい学問体系の構築も視野に入れ、応用的にも基礎的にも尖った研究開発を進めていきたいと考えております。
我が国および世界の未来のために、そしてエネルギー環境科学・技術の発展のために、本課題のメンバー一同努力してまいる所存ですので、ぜひとも皆様のご支援をいただきますようお願い申し上げます。
課題責任者:館山 佳尚
(国研)物質・材料研究機構
(国研)物質・材料研究機構
※1 2019年ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生は、ETの革新により、エネルギー・環境問題の解決のみならず、社会構造自体の変革も包含した「ET革命」が生ずることについて数多く言及されています。
※2 持続可能な開発目標。エネルギー技術の革新は、二酸化炭素削減による温室効果抑制はもちろん、災害緊急時の非常用電源など、安全・安心が担保される持続可能な社会の構築には必要不可欠なものとなっています。