NIMS-ARIMの技術スタッフ、令和6年度文部科学大臣表彰を受賞!

2024.04.25
NIMS-ARIMの技術スタッフが、令和6年度文部科学大臣表彰にて研究支援賞を受賞しました!

研究支援賞:高度で専門的な技術的貢献を通じて研究開発の推進に寄与する活動を行い、顕著な功績があった者を対象に贈られる賞です。

受賞者:大木 忍
業績名:強磁場NMRの開発と実用材料への応用による貢献

NMR (核磁気共鳴) は有機化合物中の水素や炭素の分析 (溶液NMR) に広く使われますが、多様な元素を含む無機・固体材料の分析 (固体NMR) にも高いポテンシャルを有します。しかし、多くの無機元素の固体NMR分析は感度や分解能に課題があり、その向上のために超伝導磁石とそれに伴う強磁場用のプローブの開発による分析環境の強磁場化が必要でした。
 
本業績では、固体NMR分析における感度や分解能の課題に対し、物質・材料研究機構で開発された高温超伝導体を磁石の一部に利用した世界初の超伝導磁石の開発により、従来の限界であった23.5テスラの壁を突破 (世界最高磁場) しました。同時に、様々な核種に対応するプローブを開発し、今まで測定が困難であった元素の測定を可能にしました。さらに、その技術を応用した国内外でも数少ない固体NMR計測装置を共用化し、大学や企業等の材料開発に貢献しました。
 
本業績の支援を受け、チタン観測が実用化し、Ziegler-Natta 触媒 (オレフィン重合体の触媒で1963 年度のノーベル賞の受賞対象) の構造解明につながりました。また、モリブデン観測の実用化により、燃料電池用材料「Ba-Mo-Nb-O 系酸化物」の高いイオン伝導性の鍵となる「Mo とNb の隠された秩序状態」の解明に貢献しました。
 
本業績により、世界の主要なNMR施設における超強磁場NMR装置の稼働に貢献するとともに、実用材料の応用においても、ガラスやセメント、触媒、次世代電池等の材料開発に貢献し、新材料による技術革新が期待されます。
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