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材料科学<p></p>分野において真にイノベイティブな研究を行い、飛躍的な成果を挙げた世界のトップ研究者に毎年NIMS Awardを授与しています。


NIMS Award 2022 受賞者決定!

今年度のNIMS Awardは、機能性材料分野における「医療技術の革新的進歩に繋がる『バイオマテリアル』」研究から当該技術の発展に大きく寄与した先駆的研究について顕彰します。

NIMS Award 2022の授賞式及び受賞記念講演は、11月14日 (月) に「NIMS WEEK 2022」の一環として東京国際フォーラムにて開催する予定です。

【再生医療、バイオマテリアル
高分子科学】

温度応答性高分子材料を用いた
細胞シート工学の創製と
再生医療への応用

岡野 光夫 氏

(東京女子医科大学
先端生命医科学研究所
名誉教授・特任顧問)

【バイオマテリアル、医用高分子】

生体構造模倣型ポリマーバイオ
マテリアルの創製と医療応用に
関する先導的研究

石原 一彦 氏

(大阪大学大学院工学研究科
特任教授)

【Biologically inspired engineering
(生物規範工学)】

細胞テンセグリティモデルの
提唱とOrgan-on-a-chip技術の
創出

Donald E. Ingber 氏

(Founding Director and Core Faculty
Member, Wyss Institute for
Biologically Inspired Engineering,
   Harvard University)

研究成果の概要と業績の学術界・産業界への波及

岡野 光夫 氏
 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 名誉教授・特任顧問、
 ユタ大学 教授 細胞シート再生医療センター長

【研究成果の名称】

温度応答性高分子材料を用いた細胞シート工学の創製と再生医療への応用

【研究成果の概要】

岡野氏は、温度に応じて性質を変える高分子材料を表面にナノレベルの厚さでコーティングした細胞培養基材の発明に成功し、酵素処理(細胞に損傷を与える)を行うことなく温度を下げるという操作だけで、簡便に細胞をシート状に回収できる技術を世界に先駆けて開発した。さらに、その細胞シートを再生医療へと展開し、筋肉の細胞から作った細胞シートを重症心不全患者の心臓に貼ると、人工心臓を外して元気に歩けるようになるまで回復するという夢の医療を実現した。

【業績の学術界・産業界への波及】

材料科学の研究からスタートした細胞シートの技術は、今まさに医療分野においてイノベーションを起こしている。心不全の治療だけでなく、角膜・歯周組織の再生、食道がん切除後の狭窄防止等、様々な疾患を対象に治験が行われており、日本発・世界初の最先端医療として今後ますますの発展が期待されている。

石原 一彦 氏
 大阪大学大学院工学研究科 特任教授、
 東京大学 名誉教授

【研究成果の名称】

生体構造模倣型ポリマーバイオマテリアルの創製と医療応用に関する先導的研究

【研究成果の概要】

石原氏は、細胞膜表面の構造と機能に着想を得た、生体構造模倣型ポリマーの創製に貢献した。また同氏は、超親水性の生体構造模倣型ポリマーがタンパク質の吸着や細胞接着を抑制することで、人工心臓や血管ステントのような体内に長期間埋め込んで使用する医療機器の機能性を飛躍的に向上させることを明らかにし、様々な医療機器の表面処理に応用できる革新性を実証し続けてきた。

【業績の学術界・産業界への波及】

石原氏は、材料の分子設計、合成方法の確立から基礎・基盤的な研究に加え、医療機器としての社会実装まで実現し、医療の発展に大きく貢献した。これまでに、生体構造模倣型ポリマーは、コンタクトレンズや人工心臓、人工肺、カテーテル、血管ステント、脳動脈瘤治療システム、人工股関節ライナーなど様々な医療機器の表面処理に利用されており、25年間以上の応用実績がある。それらの研究の価値は学術面・産業面の双方から高く評価され、多年にわたりバイオマテリアル科学の普及およびその水準の向上に寄与し、現在も生体医工学や界面科学など幅広い分野へ波及し続けている。

Donald E. Ingber 氏
 ハーバード大学Wyss研究所 Founding Director、
 ハーバード大学医学大学院ボストン小児病院 Judah Folkman Professor of Vascular Biology、
 ハーバード ジョン A. ポールソン工学応用科学スクール Hansjörg Wyss Professor of Bioinspired Engineering


【研究成果の名称】

細胞テンセグリティモデルの提唱とOrgan-on-a-chip技術の創出

【研究成果の概要】

Ingber氏は、建築学上の構造体である「テンセグリティ(張力等の力のつり合いによって全体構造を安定化させるシステム)」と細胞との類似性にヒントを得て、細胞にかかる“物理的な力” (脈拍による伸縮力、細胞自身が発する牽引力 等)が、組織・臓器の形成や癌の発生過程において重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらの知見を基に試験管内でミニチュア臓器を再現(Organ-on-a-chip技術)させ、動物実験を行わない創薬研究や個別化医療技術への展開を示した。

【業績の学術界・産業界への波及】

Ingber氏の研究は、細胞に生じる力がどのように機能に影響するかというメカノバイオロジーや組織工学などの分野に多大なインパクトを残した。また、生物・自然から学んでモノ作りを行う「生物規範工学」と言う新しい学問分野を開拓し、同分野を専門とするWyss研究所をHarvard大学に設立して、その初代所長を務めた。さらに、Organ-on-a-chip技術や3Dプリンティングなどを扱う7つのベンチャー企業の創業に関与した。同氏の成果は学術分野だけでなく芸術界でも評価され、MoMA等複数の美術館で展示が行われるなど、様々な業界へ幅広く波及している。


NIMS WEEK 2022 NIMS Award授賞式・学術シンポジウム
東京国際フォーラムにて開催決定

日時:2022年11月14日(月)