NIMS Award シンポジウム 2026 ~Engineering the Future of Solid State Batteries~

NIMS Award 2026 受賞者を決定!

NIMS Award 2026の受賞者を、次世代蓄電池として世界的な研究開発が加速する「全固体電池」の分野で飛躍的なイノベーションをもたらした、菅野了次氏(東京科学大学)および辰巳砂昌弘氏(大阪公立大学)の2名に決定しました。
菅野了次氏および辰巳砂昌弘氏は、硫化物系固体電解質の創製とイオン伝導機構の解明を通じて、高性能な全固体電池実現への道を切り拓きました。
菅野氏は高イオン伝導性を示す結晶系固体電解質、辰巳砂氏は非晶質系固体電解質という異なるアプローチでの開発を先導し、両氏の研究は全固体電池研究の世界的な進展と実用化の加速に極めて大きなインパクトを与えました。これらの成果は、安全かつ高エネルギー密度な次世代電池の実現に向けたキーテクノロジーとして、自動車用電池や定置型蓄電システムなどの産業応用にも道を拓き、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な技術基盤となっています。
これらの業績を、世界的に傑出した成果として高く評価し、NIMS Award 2026を授与します。

NIMS Award 2026の授賞式および受賞記念講演は、11月10日(火)に開催する「NIMS Award Symposium 2026 - Engineering the Future of Solid State Batteries」(つくば国際会議場)において行います。


固体電解質の創製を通じた全固体電池技術の革新

菅野 了次 氏

菅野 了次 氏

東京科学大学
特命教授

辰巳砂 昌弘 氏

辰巳砂 昌弘 氏

大阪公立大学
エグゼクティブアドバイザー

研究成果の概要と業績の学術界・産業界への波及

研究成果の概要

対象となる研究は、次世代エネルギー貯蔵デバイスとして注目される全固体電池(1)の実現に向け、硫化物系材料(2)を基軸とした固体電解質(3)の創製とイオン伝導機構の解明を体系的に推進し、当該分野に飛躍的進展をもたらしたものである。
菅野了次氏は、Li₁₀GeP₂S₁₂(LGPS)やアルジロダイト型に代表される結晶性硫化物固体電解質を開発し、室温で液体電解質を大幅に上回るイオン伝導度を達成するとともに、その結晶構造と電子構造に基づくイオン拡散経路の理解を深化させ、高イオン伝導を発現する材料設計の指針を提示した。
一方、辰巳砂昌弘氏は、Li₂S–P₂S₅系に代表されるイオン伝導性ガラスおよびガラスセラミック材料の創製を通じて、高速イオン伝導を示す非晶質・準安定結晶材料を開拓し、硫化物系固体電解質の実用化に向けた材料基盤を築いた。
両氏の研究は、非晶質材料(4)から結晶質材料(5)に至る広範な物質群において高イオン伝導を実現する統一的な設計指針を確立するとともに、電極/電解質界面の理解を深化させることで、全固体電池の性能向上と実用化に向けた科学的基盤を確立した。

業績の学術界・産業界への波及

両氏の業績は、固体イオニクスおよびエネルギー材料科学の分野において、非晶質系および結晶系という異なるアプローチを相補的に統合することにより、イオン伝導材料研究に新たなパラダイムをもたらし、全固体電池分野に極めて大きなインパクトを与えた。その成果は世界的に高く評価され、関連論文は高い被引用数を記録しており、高速イオン伝導の発現原理に関する理解を飛躍的に深化させるとともに、関連研究の世界的発展を大きく促した。
また、これらの成果は、硫化物系固体電解質を採用する全固体電池技術の確立に直結しており、多くの企業・研究機関による実用化研究の重要な契機となっている。特に、高安全性・高エネルギー密度を両立する次世代電池の実現に向けたキーテクノロジーとして、自動車用電池や定置型蓄電システムなどへの応用を目指す産業界の研究開発を強力に牽引し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な技術基盤となっている。

■用語解説
(1) 全固体電池:電解質に固体材料を用いた高安全・高エネルギー密度の次世代電池
(2) 硫化物系材料: 硫黄を主成分とし、高いイオン伝導性を示す全固体電池向け材料
(3) 固体電解質:イオンを伝導する固体材料で、全固体電池において電極間のイオン輸送を担う
(4) 非晶質材料:原子が規則的に配列していない構造を持つ材料
(5) 結晶質材料:原子が規則正しく配列した結晶構造を持つ材料


NIMS Award 2026 選考委員

入山 恭寿 名古屋大学 大学院工学研究科 教授
折茂 慎一 東北大学 材料科学高等研究所/金属材料研究所 所長/教授
塩見 淳一郎 東京大学 大学院工学系研究科 教授
津島 将司 大阪大学 大学院工学研究科 教授
林 晃敏 大阪公立大学 大学院工学研究科 教授

谷口 尚 NIMS Award担当理事(選考委員長)
竹内 正之 理事
細野 秀雄 特別フェロー / ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA) チームリーダー
高田 和典 エネルギー・環境材料研究センター(GREEN) フェロー
増田 卓也 GREEN センター長
神谷 宏治 GREEN 副センター長
瀬川 浩代 電子・光機能材料研究センター 副センター長
三石 和貴 マテリアル基盤研究センター 副センター長
太田 一司 GREEN プラットフォーム長
桑田 直明 GREEN 固体電池イオニクスグループ グループリーダー
万代 俊彦 GREEN 先進電池材料グループ グループリーダー
三好 正悟 GREEN 固体電池材料グループ 主任研究員
久保田 圭 GREEN 電池材料解析グループ 主任研究員

NIMS Award Symposium 2026 つくば国際会議場にて開催決定

日時:2026年11月10日(火)

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