Mgイオン注入窒化ガリウム(GaN)
Mg-implanted p-type Gallium Nitride (GaN)
3DAP(3次元アトムプローブ)解析の対象は金属に限らず、半導体や絶縁体にも広がっている。ここでは、窒化ガリウム(GaN)の3DAP解析例を示す。GaNは次世代パワー半導体として期待されており、実用化には選択的なp型/n型形成が不可欠である。イオン注入法が有力な手法とされているが、p型形成のためのMgイオン注入では転位や空孔などの欠陥が導入される。これらの欠陥修復とMg活性化のための熱処理過程で、Mgが欠陥部に偏析することはSTEM-EDSによっても報告されている。しかし、注入されるMgの濃度は約0.01 at%以下と極めて低く、Mgドーパントの3次元分布には未解明の点が多かった。ここでは、Mgイオンを1×1019 cm-3(約0.01 at%)注入後、1300℃で熱処理したGaNの3DAP試料と、その低角環状暗視野STEM(LAADF-STEM)像を示す。このSTEM観察条件下では、格子歪み等に由来する欠陥が明るいコントラストで観察される。得られた3次元Mgマップから、同一視野内でMg原子の空間分布を詳細に把握できる。その結果、転位ループへのMgの偏析に加え、高密度のMgクラスターの形成が明瞭に観察され、これがMgのp型活性化を阻害する要因であることが示された。さらに、このようなナノ組織解析の知見をもとにプロセスの改良が進められ、1 GPa超高圧下での活性化熱処理によって結晶性の回復および効率的なp型活性化が実現できることも報告されている。
- J. Uzuhashi, J. Chen, A. Kumar, W. Yi, T. Ohkubo, R. Tanaka, S. Takashima, M. Edo, K. Sierakowski, M. Bockowski, H. Sakurai, T. Kachi, T. Sekiguchi, and K. Hono, "Atomic-scale investigation of implanted Mg in GaN through ultra-high-pressure annealing", J. Appl. Phys. 131, 185701 (2022)
- T.T. Sasaki, H. Sepehri-Amin, J. Uzuhashi, T. Ohkubo, and K. Hono, "Complementary and correlative (S)TEM/APT analysis of functional and structural alloys", MRS Bull. 47, 688–695 (2022)
- A. Kumar, J. Uzuhashi, T. Ohkubo, R. Tanaka, S. Takashima, M. Edo, and K. Hono, "Atomic-scale quantitative analysis of implanted Mg in annealed GaN layers on free-standing GaN substrates", J. Appl. Phys. 126, 235704 (2019)