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NIMSが開発したFe-Mn-Si合金と新しい溶接技術を用いた制振ダンパーが日経ビジネスに掲載

2020.09.24

 NIMS構造材料研究拠点で開発された、従来の材料に比べて約10倍の疲労耐久性を持つFe-Mn-Si合金(FMS合金)を使用し、新しい溶接技術を適用した制振ダンパーが、日経ビジネス2020年8月24日号 64~65ページに掲載されました(記事タイトル:「建築材料、コラボで進化 新素材で限界突破」)。
NIMSが開発したFMS合金は、2014年にせん断パネル型制振ダンパーとしてJPタワーに実装されました。しかし、FMS合金の溶接ができなかったので、適用範囲が限定されるという課題を持っていました。そこで、機械的性質を損なうことなくFMS合金を溶接できる新技術を開発することでこの課題を克服しました。さらに、株式会社竹中工務店、淡路マテリア株式会社との共同研究により、溶接接合部を有するブレース型制振ダンパーの開発に成功し、2018年、中部国際空港に隣接して建設された大規模展示場「Aichi Sky Expo」に16基実装されました。
FMS合金の特徴は、マルテンサイト変態が関与する可逆的な塑性変形機構により、ひずみ制御弾塑性変形に対して従来比10倍の疲労寿命を示すことです。新しい溶接技術のポイントは、FMS合金と炭素鋼の異材溶接において、溶接ワイヤの成分設計により凝固モードを制御して溶接割れを抑制し、溶接部の強度を高めたことです。今後は溶接部においてもFMS合金と同等の疲労寿命(従来比10倍)を示す素材と溶接ワイヤの開発を目指して研究開発を進めます。






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