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小熊博幸 主幹研究員(構造材料研究拠点 接合・造型分野 高分子系ハイブリッド複合材料グループ)が「日本材料学会疲労部門委員会奨励賞」を受賞

2020.06.03

小熊博幸 主幹研究員が「日本材料学会疲労部門委員会奨励賞」を受賞しました。

【業績】
「内部起点型疲労破壊における特異な破面領域の形成機構に関する実験的研究」

受賞者は主にチタン合金を対象として内部起点型破壊の発生過程ならびに疲労強度の低下の要因を明らかにするために実験的研究を行ってきた。そして、超高サイクル域までの疲労試験データを系統的に取得し、破面観察および破壊力学に基づく検討を行い、内部起点型破壊の特性および内部疲労き裂の進展過程に及ぼす影響因子を明らかにした。さらに材料内部を進展する疲労き裂が曝される環境に着目し、超高真空環境中で疲労き裂進展試験や微小欠陥材を用いた疲労試験を行った。これらの結果を基に内部起点型破壊が表面起点型破壊よりも低応力・長寿命域で生じる理由を示した。また、内部起点型破壊における特異な破面の存在を示し、その形成機構を新たに提案した。そして、周囲環境と力学的条件に着目した実験を行い、TEMやSEMによる観察と分析やインデンテーションによる評価を基に詳細な検討を行っている。今後、これまでの成果に加えて大型放射光施設における内部疲労き裂の観察により内部起点型破壊の詳細が明らかにされ、超高サイクル疲労現象の解明へ繋がることが期待される。
真空環境と力学条件に着目して内部起点型破壊の発生機構の解明を試みる点に独自性が認められる。一方、提案されている特異な破面の形成機構は材料種によらないものであり、超高サイクル疲労特性の統一的な理解へとつながる可能性がある。継続的な実験データの蓄積ならびに破壊現象の詳細解明は長期信頼性を保証する上で重要であり、マテリアルズ・インフォマティクスなどの計算科学による材料強度特性の予測精度向上にも貢献する可能性がある。今後の研究により材料強度の分野のみではなく、新材料開発など幅広い分野において工学基盤技術の発展に貢献することが期待される。




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