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【技術紹介】IoT 技術による歪み可視化シートの屋外遠隔モニタリング

2017.09.01

概要

内閣府SIP「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」テーマの一つとして、標記の試験をNIMS構内で
開始しました。
1) NIMS 敷地内のコンクリート構造物壁面に歪み可視化シートを施工した。
2) この写真を自動撮影・送信する装置 (太陽電池で駆動) を設置した。
3) 携帯電話回線と日照が確保できれば、遠隔モニタリングが可能である 。

詳細説明

 歪み可視化シートとは樹脂製シート上にフォトニック結晶膜を塗布したもので、応力による変形を色の変化
として可視化できる新しい技術である。(PDF 動画
貼付面に加わった歪みを肉眼で容易に検知できることから、構造物の経年劣化モニタとしての利用が期待されて
いる。検知手段を肉眼だけでなくネットワークに繋いだカメラに拡大できれば、監視対象範囲を格段に広げるこ
とができるので、太陽電池で駆動し無線で撮影写真を転送できる観察装置を作製した。
図 1(左) に、観察装置と橋梁に施工した歪み可視化シートを示す。
図1:(左) 橋梁壁面に施工した歪み可視化シートとその観察装置。
樹木の幹に USB カメラと雨避けを設置した。 
(右下) スイッチ回路を増設した IoT 用マイクロコンピュータ。
接続した USBカメラの on/off をコンピュータ側から操作できる。
(右上) 観察装置から集めた写真を逐次、一覧表示する画面。
限られた電力で連続運転できるよう、ハードウエアとソフトウエアの両面で節電運用するためのノウハウを投入
し、その一方で、構成する部品はすべて一般的な市販品を用いてコスト軽減を図った。具体的には、撮影の
タイミングは日中の 1 時間毎に限定し、その時だけカメラへの通電と無線接続が行われるようにIoT 用マイクロ
コンピュータに簡単なスイッチ回路を増設し (図 1 右下参照)、その回路と内蔵された携帯電話 SIM を操作する
専用ソフトウエアを作成した。また、木陰でも連続運転できる発電量を確保するため太陽光パネルを2〜3枚接続
した。 以上のようなカスタマイズは、市販の屋外防犯カメラ等では望めないことである。
観察対象の歪み可視化シートはNIMS 千現地区敷地内に掛かる橋梁 (つくば市管理) のコンクリート壁面に今年
4月に施工したもので、つくば構造材料オープンプラザ(TOPAS) のWG 研究活動の一環としてショーボンド
建設(株)の大屋氏を中心に実施した。図 1 右上は3箇所の施工面を監視するための Webブラウザ画面である。
以上の構成により、日照と携帯電話回線接続が確保できる小さな脚立程度の設置場所があれば、歪み可視化
シートの映像をネットワーク経由で監視できることが示された。
本研究はNIMSシーズ育成研究費、JSPS科研費(16K14408)、及び総合科学技術・イノベーション会議のSIP
「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」(管理法人:JST)によって実施された。
 本件に関する問合せ先(担当者):轟 眞市
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