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由利哲美(構造材料研究拠点 主任研究員)が
「平成28年度 文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞」を受賞

2016.05.13
当拠点 材料信頼性分野 疲労特性グループの由利哲美主任研究員は、「平成28年度 文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞」について候補者に推薦され、業績名「極低温環境における低コスト材料試験の考案」で見事に受賞をされました。 本賞は、優れた創意工夫により職域における技術の改善向上に貢献した者を対象とした賞です。

以下は、詳細な推薦、業績の紹介になります。

「極低温環境における低コスト材料試験の考案」

国産宇宙ロケットは液体水素(-253℃:20 K)と液体酸素(-183℃:90 K)を燃料とし打ち上げられるため、それらの極低温環境で使用されている金属材料は、実環境での材料試験が重要となる。しかしながら、液体水素中における試験は、試験設備や安全対策、また液体水素も高価で多大な経費が必要となる。さらに、液体水素中の試験では液体水素の補充が必要であり、長時間に渡る高サイクル疲労試験等を行うには労力の負担も大きく、データの取得には困難が伴う。
一方で、由利氏はこれまでに極低温構造材料に関する基礎研究、試験技術の確立等に多くの総合的な研究業績をあげてきたが、今回は冷凍機付材料試験装置を利用することにより、ガスヘリウム環境中で液体水素温度と同じ温度の20 Kで材料試験ができるように考案した。試験片周囲を銅製の容器で囲い、その容器に取り付けたヒーターで温度調節を行い、試験片温度を20 K(±1 K以内)に長時間ほぼ一定に保持することに成功し、液体水素温度と同じ温度でのデータを低コストで取得できるようになった。また、これまでに本試験装置で約2,400時間(100日)以上に渡る長時間運転が可能であることを実証しており、極低温環境における長時間連続運転技術が確立されている。極低温における材料特性評価技術の高さを国内外に示すとともに、国産液体ロケットエンジンの信頼性を高めることにも多大な貢献をしている。
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