ステーションのあゆみ
- 1956
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金属材料技術研究所 設立
科学技術庁(現 文部科学省)所管の研究所として金属材料技術研究所(NRIM)が設立。核融合やマルチコアプロジェクトなどの超電導研究において、様々な強磁場発生装置が開発されるようになりました。
- 1960s
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超伝導材料の開発
1960年代、現在の研究成果の核となる超電導材料などの材料分野の研究が活発に行われるようになりました。後に、多くの強磁場マグネットに自ら開発した材料や材料技術が使われることになります。
- 1976
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17.5 T 超伝導マグネットの開発
超伝導マグネットが17.5 Tを記録したことにより、NRIMでの開発で、初めての世界記録をもたらしました。Nb3Sn超伝導テープをパンケーキ巻きに60個積み重ねて作られた外層マグネットは、単独で直径160mmの空間に13.5Tの磁界を発生します。その中に、V3Ga超伝導テープで作られた直径32mmの内層マグネットを挿入することによって、17.5Tの磁界を発生することに成功しました。
- 1986
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18.1 T 超伝導マグネットの開発
超伝導マグネットが17.5 Tを記録したことにより、NRIMでの開発で、初めての世界記録をもたらしました。(Nb,Ti)3Sn、NbTi、V3Gaワイヤーを組み合わせて作られたもの。内径32mmに18.1Tの磁場を発生させることで、強磁場ステーションの持つ最大磁場としての自己記録を更新しました。
Bi系酸化物超伝導材料の発見
1980年代、新たな超伝導体の可能性を求め、様々な希土類の研究が行われましたが、イットリウム系を凌ぐ材料は発見されませんでした。その中、NRIMの前田弘らは、イットリウムの臨界温度90Kを超える、105Kを持つBi(ビスマス)系銅酸化物を発見、超電導技術の新たな展開の可能性が開かれました。
- 1988
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ハイブリッドマグネット等の開発開始
酸化物高温超伝導材料の発見をはじめ、強磁場を発生させる超伝導マグネットなどの技術の成功により、40T級ハイブリッドマグネットの開発プロジェクトが開始。また、包括的な強磁場研究施設の設立を目的として、80Tパルスマグネットや20T大口径超伝導マグネットも同時に展開されました。
- 1993
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21.1T 超伝導マグネットの開発
超伝導体、半導体、磁性体などの高度機能材料の研究には、大きな空間に安定した強磁場を発生させることが必要不可欠。NRIMの井上廉らは、内径50mmの大口径に最大21.1Tという、超伝導マグネットとして世界最高の磁界発生に成功。マグネットには銅比の小さな(Nb, Ti, Ta)3Snが用いられ、大型マグネットとしては初めて飽和超流動ヘリウムが運転に用いられています。
73.4T パルスマグネット
ロングパルスとして73.4Tの磁場を発生する事に成功。ステーションにとって初めての世界一を記録したパルスマグネットとなりました。
強磁場ステーション 発足
強磁場マグネットに加え、マグネット運転用のヘリウム液化機および対応する電源設備を兼ね備えた磁界実験棟が完成。40T級ハイブリッド定常マグネット、80Tパルスマグネット、20T級超伝導マグネット、14T固体NMR計測システム、16T量子振動計測システムなどを含むプロジェクトが進行し、それぞれが世界最高レベルであるマグネットを有する施設として「強磁場ステーション」が発足。高性能超電導材料の開発をはじめ、世界最高レベルの強磁場発生技術を維持しつつ、超低温発生技術や磁場中計測技術などの研究が進められていきます。
- 1995
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ハイブリッドマグネット定常磁場の世界記録 (36.5 T)
強磁場ステーションにとって初のハイブリッドマグネットが36.5Tを発生し、世界記録を更新しました。室温で最大15T発生する超伝導マグネットを外層に、2種類の水冷銅マグネットを内層に使用。1時間に150リットルを液化できるヘリウム液化機、1500A電源装置や冷却設備がマグネット運転に利用されました。強磁性磁極片を利用せずに安定した強磁場を発生したことで、世界トップクラスのものとなりました。
- 1998
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共同研究施設として開放開始
強磁場発生装置は、固体物性、科学、生化学、医学、材料プロセスなど多くの科学技術分野にとって有用なツールとなります。強磁場ステーションの発展に伴い、NRIM内部だけでなく、外部の様々な分野からマグネット利用希望の声が寄せられるようになりました。その結果、強磁場マグネットを人類共通の資産ととらえ、共同研究施設として、外部研究者に開放を開始しました。初年度となる1998年には、海外からの応募を含め約100件のテーマが採択されました。
- 1999
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ハイブリッドマグネット定常磁場の世界記録 (37.3 T)
ハイブリッドマグネットの外側に配された超伝導マグネットは、室温有効内径40 cmの空間に15 Tの磁場を発生する能力を有し、内側に水冷銅マグネットを組み込むことができる。開発されたビッター型マグネットは、内層、中層、外層と三つのブロックからなり、最内層と中層には、NRIMで開発された高強度の銅銀合金が使われている。また、最高磁場を発生した後のマグネットの劣化を抑え、冷却水の温度も低く抑え、強度と冷却性能という大きな特徴を有しています。
23.4T 超伝導マグネットの開発
NRIMで発見されたビスマス系酸化物高温超伝導材料Bi-2212を利用した超伝導マグネットにおいて、平成8年の22.8TのTMLの持つ世界記録を更新する23.4 Tの磁場発生に成功。直径13 mmのクリアボアを有するマグネットは、1993年に開発した21Tマグネットのコイルを外側に、新たに製作したBi2212/Ag-Mg線材を使用したコイルを内側に使用し、6個のダブルパンケーキ構造で成り立っています。この成功は、タンパク質の立体構造等の解明を目的とする1 GHz NMRマグネットの実現に向けた重要な一歩となりました。
- 2001
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独立行政法人 物質・材料研究機構 設立
行政改革の一環として、研究開発の業務を総合的に行い、物質・材料科学技術水準の向上を目的として、金属材料技術研究所(NRIM)は、無機材質の材料研究をおこなう無機材質研究所(NIRIM)と統合、「独立行政法人物質・材料研究機構」として組織がスタートを切りました。
920MHz (21.6T) 高分解能 NMR マグネット開発
超高磁場超伝導NMRマグネットが、920 MHz(21.6 T)での永久電流モードでの運転を開始。最も磁場が強くなる領域の内層コイル用線材に、ブロンズ中のスズ濃度を15 wt.%まで増加したブロンズ法Ti添加Nb3Sn線材が使用されています。冷却システムをより低温で効率的に運転できるように改良し、超伝導シムコイルによる部分的な均一度の調整を行うことで、NMRマグネットで非常に重要となる磁場安定度を3 Hz/hに抑えたまま、21.64 Tの最高磁場を経て920 MHzの永久電流モードへの移行を可能にしました。文部科学省超伝導材料研究マルチコアプロジェクトの一環として進められている1 GHz級NMRマグネット開発において大きな一歩となりました。
- 2002
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第1NMR 実験棟完成
920 MHz超伝導NMRマグネットの成功を受け、強磁場ステーションにNMRマグネット専用の実験棟が建設されました。マグネットが周囲環境からのノイズなどの影響を受けないようデザインされており、その結果、漂遊磁場が50から6ガウス以下と大幅に縮小しました。
- 2003
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第2NMR 実験棟完成
開発中の930 MHz NMRマグネットをはじめとするNMRマグネットを設置する目的で、第2NMR実験棟が建設されました。この磁気シールドが施された実験棟には、500MHzや270MHzなど計9つのNMRマグネットが設置され、高性能のNMR計測機器が集まる共同利用施設として、さらに充実しました。
- 2004
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930MHz (21.9T) 高分解能 NMR マグネット開発
世界最高磁場21.9 T(発生磁場に相当する水素の共鳴周波数は930 MHz)で動作する高分解能NMRマグネットを開発。920 MHzマグネットの内層コイル線材以上のスズ濃度16 wt.%を有するTi添加Nb3Sn線材を利用したことで、臨界電流密度が向上し、同じ電流値をより少ない断面積での通電が可能となりました。このため、920 MHzマグネットと同じ運転電流で、930 MHzに対応する磁場21.9 Tが発生可能に。重要性が高まりつつある先端計測分析技術・機器開発において、超伝導NMRマグネットの最高性能機種が世界に先駆けて日本で開発されたことで、タンパク質などの構造・機能解析や固体触媒など材料研究に大きな進展をもたらしました。
- 2005
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電源システム改良
ハイブリッドマグネットシステム改良計画として、ヘリウム液化機の更新や、15MWの水冷銅マグネット電源の改造などが行われました。特に、MOS-FETドロッパーを導入したことで、マグネット設置以来の課題だった磁場変動とノイズの大幅減に成功しました。その結果、ハイブリッドマグネットを用いたNMR構造解析研究が可能となっただけでなく、磁気特性や超伝導特性などの計測も超伝導マグネット並みの精度で測定が可能となりました。
- 2008
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ハイブリッドマグネットの冷却システム更新
ハイブリッドマグネットの冷却水システムと超伝導マグネット冷却システムの改造が行われました。1100トンの大型水槽を冷熱貯蓄に使用し、冷凍機運転を均一化、さらに熱交換器を導入したことで、熱効率が大幅に上昇。また環境省の補助金を利用し、マグネット冷却用のヘリウム冷凍機を適正サイズに小型化したことで、電力消費量が大幅に減少。結果として、年間710トン以上の二酸化炭素排出削減を達成しました。
- 2014
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NMR 磁石の世界最高記録となる1001MHz(23.5テスラ)の磁場発生に成功
NIMSを中心とする研究チームは、世界最高磁場となる超1GHz-NMRシステムの開発を目指しています。今年8月から超伝導磁石の磁場を徐々に上げていく作業を開始していましたが、10月1日(水)に1001MHz(23.5テスラ)の世界最高磁場を発生させることに成功しました。
- 2015
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世界最高磁場のNMR装置(1020MHz,23.5テスラ)の開発に成功
NIMS、理研、株式会社神戸製鋼所および株式会社JEOL RESONANCEからなる研究チームは、JST 先端計測分析技術・機器開発プログラム「超1 GHz -NMRシステムの開発」の一環として、1020MHzという世界で最も強い磁場を発生できる超高磁場NMR装置の開発に成功しました。
- 2020
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組織改編のため、共用部門 低温応用ステーションとなる
- 2023
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〃 技術開発・共用部門 材料創成・評価プラットフォーム 強磁場計測ユニットとなる



