セラミックス基複合材料グループCeramic Matrix Composites Group

研究テーマ

サンドイッチ型プリプレグによる高信頼性CMCの創製

空宇宙や先進原子力・核融合分野の過酷な高温環境で使用されるSiC系セラミックス基複合材料(CMC)の研究開発を進めています。セラミックスナノ粉末の分散技術と一方向プリプレグ製造技術を融合し、サンドイッチ型プリプレグの半自動製造技術を開発しました。ナノ粉末を均一に分散させたセラミックスシートで繊維束を挟み込むことで、繊維束内部まで原料を均一に充填し、板材、円筒、フランジなどの複雑形状部材を製造できます。さらに、繊維量、マトリックス構造および界面を制御して亀裂を分散・偏向させることで、急激な破断を抑制し、軽量・高耐熱・高信頼性を兼ね備えたCMCの実現を目指しています。

放射光X線CT技術を駆使した評価技術や材料設計

放射光X線マルチスケールCTを用いた3D非破壊可視化により、光学的な計測やSEMに基づく2D断面観察では分からなかったセラミックス焼結体内部の有害な欠陥の形状、寸法、空間分布を把握し、焼結過程における不均質構造および欠陥の形成過程を解明しました。この可視化技術により得られた情報は、粉体成形で生じる内部欠陥を制御し、実用的なセラミックス部材の信頼性や寿命を向上するプロセス技術の開発に役立てることができます。さらに、成形体密度が不均一な複雑形状部品の局所的強度の推定も可能になります。

室温~1500℃での高温顕微観察技術

離着陸のたびに常温から1700℃を超える燃焼ガス環境に繰り返し曝される航空機用ジェットエンジンの耐熱材料の高温下での変形・損傷挙動や化学的劣化を顕微観察できる技術を確立しました、材料自身が発する輻射光を光学フィルタで遮断しながら輻射光より波長の短い紫外光照明で材料表面を光学顕微観察することにより、輻射光の影響を受けずに高温下での材料の変化をその場観察し、さらにひずみ分布を測定することも可能です。高温機械試験機や熱サイクル試験機と組合せることで破壊や劣化がいつ、どのように起こるかを的確に知ることができるようになりました。

(A) 開発した高温光学顕微観察システムの概要。(B)開発したシステムを様々な温度、ディメンジョンで応用した例:① 引張負荷中のセラミックス基複合材料(CMC)中のひずみ分布を25℃および1000℃で測定し、破壊機構を明らかにした。② CMC用耐環境コーティング(EBC)の熱サイクル中の損傷過程をその場観察し、昇温途中の1000℃でマッドクラックが発生する瞬間を捉えた。③ 冷却中のEBCの熱ひずみを測定した。これを用いて室温~1400℃での面内方向の熱膨張係数を温度の関数として取得した。④ 多結晶セラミックス上のビッカース圧痕の頂点から発生したき裂が高温でヒーリングする過程をその場観察した。

セラミックコーティングの界面破壊靭性評価技術

ジェットエンジン用セラミックス基複合材料(CMC)には燃焼ガスによる腐食から材料を守るため耐環境コーティング(EBC)が施されています。EBCと基板の界面破壊靭性(EBCの耐剥離性)の定量評価はEBCの開発や寿命予測に欠かせない情報ですが、CMCは層間強度が弱いため、従来の界面破壊試験ではCMC基板が先に破壊する可能性があります。そこで、基板の層間方向には負荷をかけない新たな試験法を考案し、試験中の荷重から界面破壊靭性を計算する方法を確立しました。開発した試験法を溶射EBCに適用し、試験の妥当性を確認しました。

セラミックコーティングの界面破壊靭性評価技術

考案した界面破壊試験法。異なるフェーズアングルの試験を行えるよう、(A)モードIリッチ、(B)モードII リッチな2つの試験法を提案した。層間強度の弱いCMCの破壊を防ぎながら界面を破壊することが可能である。