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物質・材料研究の『使える!メールマガジン』
vol.161
2025.12.19
金属3Dプリンティング
今月の一枚
「金属3Dプリンティング」

複雑な形状の金属部品を一体成形できる金属3Dプリンター。これまで、出力された金属部品を高温・高圧環境で長期間使用する場合の強度や耐久性のデータが十分に蓄積されておらず、従来製材法でつくられた材料を大きく上回る性能は想定されてこなかった。そうした中、NIMSは金属3Dプリンティング技術のひとつであるレーザー積層造形法で作製した耐熱鋼が、650℃で約1万時間のクリープ試験において従来材の10倍以上のクリープ寿命をもつことを明らかにした。これは他のレーザー積層造形材料では報告のない極めて特異な例である。
電子顕微鏡で観察すると、クリープに有利な「フェライト相」を主相とする特異なミクロ組織が形成されていることがわかった。局所的に溶かされた金属粉末が超高速で冷えて固まるレーザー積層造形特有のプロセスが、こうした理想的な組織をもたらし、長寿命化が達成されたと考えられる。長時間のクリープ試験設備と評価技術を持つNIMSは、金属3Dプリンター材の強度・耐久性データを整備し、その普及に貢献していく。

for more details
★NIMS NOW(Vol.25 No.2)
「Research Digest 2024 総集編」
クリープ寿命が10倍以上に!金属3Dプリンター製耐熱鋼の実力
★プレスリリース(2024.11.21)
金属3Dプリンターで耐熱鋼のクリープ寿命を10倍以上に延長
★NIMS公式YouTube
「数十年 じーっと待つ研究」(クリープ試験)
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オトナの科学本
『The Proteus Operation』
 
 
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nano tech 2026 に
NIMSが出展します
nano tech 2026
NIMSから選りすぐりの20成果が集結!
NIMSは、1月28-30日に開催されるnano tech 2026 に出展します。
nano tech 2026のテーマは「Bridge to Future Business: Innovating Nanotechnology」。NIMSブースでは、最先端の材料研究や技術シーズ、社会課題の解決に向けた取り組みなどを紹介します。
研究者の方はもちろん、企業の皆さまや産学連携・新規事業創出に関心をお持ちの方、最先端技術に興味のある学生の方にも、ヒントや出会いのある展示をお届けします。
ぜひ会場にお越しいただき、NIMSブースへもお気軽にお立ち寄りください。

今後、メルマガ臨時増刊号で展示の詳細をお届けしますので、楽しみにお待ちください!

日時   2026年1月28-30日 10:00-17:00
     
場所   東京ビッグサイト 西1・3ホール&会議棟
     
参加
登録
  参加無料。下記リンクから事前登録をお願いします。
来場登録フォーム
     
詳細   nano tech 2026 ウェブページ
NIMSイベントページ:nano tech 2026
     
 
マテリアル戦略推進シンポジウム2026
「MatISS 2026」開催!
MatISS 2026
AIとデータが切り拓く、次世代の材料研究
2026年1月30日(金)に、データ駆動型マテリアル研究の最前線を紹介するシンポジウム、マテリアル戦略推進シンポジウム2026「MatISS 2026」を開催します。
本シンポジウムは、政府が推進する「マテリアル革新力強化戦略」のもと、AI時代のマテリアル研究の新たな方向性を展望し、マテリアルDXプラットフォームの利活用を国内外の産学で加速することを目的としています。最先端のデータ駆動型マテリアル開発や、研究インフラの活用事例など、多彩な講演・議論が行われます。
MatISS 2026 は、研究開発戦略や材料データ利活用の最新動向を知る絶好の機会です。なお、nano tech 2026でも「NIMS & 文科省マテリアル戦略関連事業」と合同展示を行います。ぜひ現地でデータ駆動型材料研究の「いま」を体感してください。
 
日時   2026年1月30日(金) 10:00-17:00
     
場所   東京ビッグサイト 会議棟1階 レセプションホール A・B
     
参加
登録
  参加無料。 下記リンクから事前登録をお願いします。
事前登録締切:2026年1月26日(月)
参加登録フォーム
     
詳細   ウェブページ:MatISS 2026イベントページ
     
 
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NIMS公式ウェブサイト
 
BOOK
どっぷり浸かるサイエンスの世界
オトナ科学本
『The Proteus Operation』書影  
『The Proteus Operation』
James P. Hogan 著/早川書房 発行
- あらすじ -

時は1970年代。第二次世界大戦で圧倒的勝利を収めたナチス・ドイツの前に、アメリカは風前のともしびとなっていた。この「ナチス・ドイツの勝利」が歴史改変によって生み出されたものだと気づいたアメリカは、再び歴史を修正するため、自らもタイムマシンで極秘部隊《プロテウス》を過去へと送り込む。

 
量子特性モデリンググループ 田中主幹研究員のおススメ!
ナチスドイツが先の大戦に勝利し、JFK(暗殺されていない)のアメリカ率いる自由世界と対峙する1970年代。

歴史を有利に変えるべく、両陣営はそれぞれタイムマシンで作戦部隊を1939年に送る。しかしアメリカ側はマシンが現代に戻れないトラブルに遭遇し、アインシュタイン、ウィグナー、テラー、シラードなど、映画『オッペンハイマー』にも登場する一流物理学者たちの協力を請う。巧みに活写された戦争直前の欧米を覆う空気を背景に、今も我々を悩ませる量子論の難しさに立ち向かう科学者たちの物語が展開する。並みの「ハードSF」にないスケールと示唆と娯楽性に学生時代大いに魅せられた。
『The Proteus Operation』書影
学生時代に読んでいた原著本。火災によって表紙もなくなってしまったが、いまだに大切に保管し、読み返している。
原著には本書の理論的バックボーンである量子力学の多世界解釈の紹介が付されている。物理学者ドイチュが量子コンピューターの提唱者の一人となったのもこの解釈にインスパイアされたため。量子論の基礎が現実の技術と結びつきかつてない注目を集めるいま、読み返したくなる一冊です。
   
- 読書案内人 -
田中秋広 主幹研究員

田中 秋広(たなか・あきひろ)

ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)
量子特性モデリンググループ 主幹研究員

「量子力学の意味なんて本当は誰も分かっちゃいないんだ」とどこかで聞きかじり、古い論文を渉猟した大学初年次。磁性体の表面に現れるトポロジカルな量子効果の不思議に憑かれ始めた院生時代。あれからもうじき40年、「時代がようやく追いついてきたぜ」とうそぶきたいような、己の不明を嘆きたいようなこの頃です。最近、数学科を舞台にした漫画「数字であそぼ」に登場する院生諸君の悪戦苦闘ぶりに感情移入しています。

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