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物質・材料研究の『使える!メールマガジン』
vol.114
 
2021.6.9
<お詫びと訂正 (6/15)>

6/9にお送りしたメールマガジンの記載内容に一部誤りがありました。修正版として改めてお送りさせていただきます。ご迷惑をおかけいたしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

さびの写真
今月の一枚
さび

例年よりも駆け足でやってきた梅雨。湿気によって金属のさびが進む季節だ。さびは一般的に“劣化”とされるが、金属にとってはさびているのが本来の姿。製鉄の過程で除かれた酸素を取り戻し、安定した状態に戻ろうとする。NIMSではさびを20年以上、様々な環境下で観察し、さびの種類や進行具合をデータとして公開。構造物の安全を守る指標として役立てられている。

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グラフェンスーパーキャパシタの写真
Vol.4
グラフェンスーパーキャパシタ
~高速充電でハイパワー! 独自技術が光る新しい蓄電デバイス~

電極を乾電池に繋いで1、2——たった2秒の充電で、40分以上もLED電球がつき続ける。そんな驚異の蓄電力を持つのがグラフェンスーパーキャパシタだ。

短時間で充電できる上に、溜めた電気をハイパワーかつ高速に取り出すことができる「キャパシタ」。長寿命で発火の危険がないなど、耐久性や安全性も併せ持つ蓄電デバイスだが、爆発的な普及を拒む要因にエネルギー密度の低さがあった。そこで、唐研究員は既存のキャパシタに使われている活性炭を、グラフェンに置き換えることを考案する。

ロールツーロール成膜装置の写真
独自に合成したグラフェン/CNT複合材料を、このロールツーロール成膜装置に流し入れて、極薄のシート状にする。

2010年にノーベル物理学賞を受賞したことで知られるグラフェン。極薄で軽く、単位質量当たりの表面積が大きいため溜められる電荷量が多いなど、電極材料として優れた特徴を持つ。しかし、グラフェンは厚さが原子1個分というその薄さゆえに癒着しやすい。グラフェン同士がくっついてしまうと表面積の確保が難しく、エネルギー密度の向上は困難を極めた。

グラフェンスーパーキャパシタの構造図の写真
グラフェン同士の癒着を、カーボンナノチューブを挟むことで解決。グラフェンの表面積を大きくして、高いエネルギー密度を実現した。

そんな中、唐は炭素同士が筒状に連なったカーボンナノチューブ(CNT)に目を付ける。グラフェン同様、電気伝導度が高いCNTをグラフェンとグラフェンの間に挟んだら——思惑通り、CNTはグラフェン同士を離す格好のスペーサーになるとともに、一定の距離でつなぎとめる役割も担ったのだ。

さらに、グラフェン表面にナノサイズの孔を配し、電解液の浸透を促進させることで、ついに既存のキャパシタの3倍ものエネルギー密度を達成するグラフェンスーパーキャパシタの開発に成功した。

本格的な実用化に向けて、唐は2017年、NIMS認定ベンチャー「株式会社マテリアルイノベーションつくば」を創設。「現在はヒトの心拍数や位置情報などを感知するセンサの電源として、さらなる開発を進めています」と唐。

唐研究員の写真
グラフェンスーパーキャパシタの開発者・唐 捷。ずらりと並んだ特許証とともに。

私たちの安全や安心にこの技術が役立つ日も遠くはなさそうだ。そして、長期的な目標としてスマホや電気自動車への搭載も見据えている。今後もグラフェンスーパーキャパシタから目が離せない。

もっと知りたい!
アツいグラフェンスーパーキャパシタの世界
BOOK
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オトナ科学本
\今月はコチラ!/
本の表紙写真「天地創造デザイン部」
「天地創造デザイン部」
蛇蔵 & 鈴木ツタ 原作  たら子 作画
講談社
YouTube担当・こもりんのイチオシ!

どうしてそんな風になっちゃったの?と思う生物ってたくさんいますよね。例えば、キリンはなぜ首が長いのかとか、コアラはなぜ寝てばかりなのかとか。実は、そういった生物の姿や生態は、神様に依頼されて生物を創り出す「天地創造デザイン部」が担っていた……!という突拍子もない設定から、生物の真実に迫っていく作品です。特に興味深いのは、ユニコーンやペガサスが実在しない理由。ユニコーンは代名詞の長い角を維持しようすると「骨粗しょう症」になってしまうんだとか。ペガサスは——ぜひ読んでください! 
登場人物(天使?)たちは新しい生物のデザインを考えては地上で適応できるか試し、繁栄するための条件を導き出していきます。これは、ラボレベルでできた材料を、社会実装するために試行錯誤するNIMSの研究とよく似ています。生物の不思議、そして実用化へのプロセスを笑いながら体感できるコミックです。

あらすじ

地球に奇妙な生物が存在するのは、神様からの要求にこたえる「天地創造デザイン部」の仕業だった? 月刊モーニング・ツーで連載中、アニメ化もした爆笑必至の生物コメディ。

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