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物質・材料研究の『使える!メールマガジン』
vol.111
 
2021.3.10
制振ダンパーの写真
今月の一枚
制振ダンパー

ビルなどが長く横揺れする長周期地震動を軽減するため、建物内に設置される「制振ダンパー」。NIMSは形状記憶合金をベースに開発した新合金を搭載し、高い振動吸収性と耐久性を併せ持つダンパーを世に送り出してきた。近年では鋳造・溶接技術を高めることにより、様々な形状のダンパー開発を進めている。未曽有の大震災から10年——災害に立ち向かうべくNIMSの挑戦は続く。(※写真はせん断パネル型制振ダンパーの改良開発現場の様子)

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水素社会実現の要とも言える磁気冷凍技術において、小さな磁場変化だけで大きな冷却作用が得られる現象を発見! カギとなったのはホルミウム元素。液体水素の輸送ロス・貯蔵ロスの軽減に期待大!

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プレスリリース 3/5

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DEVICE
NIMSが誇る装置をピックアップ!
NIMS装置図鑑
急熱急冷処理装置の全体写真
Vol.6
急熱急冷処理装置
~高性能ニオブ・アルミ超伝導線材を生み出すNIMS独自の熱処理マシン~

まるでミシンのボビンに上糸をかけるように、金属線をひとつひとつの滑車に這わせていく。すべてをセットしスイッチを入れた途端、まばゆい閃光が放たれた。

医療用MRIや核融合炉などに欠かせない超伝導線材。現在はニオブ・チタン線材が広く普及しているが、更なる高性能・高機能化を求めてNIMSではニオブ・アルミ線材の研究を世界に先駆けて行ってきた。その開発用にNIMSが独自に編み出したのが「急熱急冷処理装置」。名前の通り、「急速加熱と急速冷却」を連続的に効率よく行える、ニオブ・アルミ線材製造の要となる装置だ。

急熱急冷処理装置の加熱部分の写真
銅の滑車と液体金属ガリウム間で一気に2000℃まで加熱。熱放射による強烈な光が高温の証だ。

まずニオブ箔とアルミ箔を重ね巻きした複合線材を、装置内すべての滑車にかけ渡す。装置を作動させると、線材は供給ドラム(右上)から巻取りドラム(左上)へと毎秒1メートルの高速で巻き替えが始まる。途中にある右下の銅製の滑車とその真下にある液体金属ガリウム(Ga)が入ったプールとの間で直流電流が流れ、線材は一気に2000℃まで加熱される。

2000℃は、ニオブとアルミが超伝導体として最も理想的な化学組成を形成する温度だ。わずか0.1秒の加熱後、線材はすぐに液体Gaに浸されて、急速に30℃まで冷却。これにより、2000℃の化学組成で凍結されたニオブ・アルミ合金線材が一瞬にして出来上がる。

菊池研究員の写真
超伝導線材のプロセス開発に携わる菊池章弘研究員。「急熱急冷処理装置は超伝導だけでなく、生体材料、形状記憶合金など他の線材開発への適用も可能だと考えています」。

2006年、この装置を導入してNIMSはニオブ・アルミ超伝導線材の1㎞級の長尺化を確立。高分解能NMR用高磁場コイルや次世代加速器磁石用大容量ケーブルの開発が行われた。「現在は、ニオブ・アルミの更なる潜在能力を開花させようと、低コスト化や量産効率も考慮しながら髪の毛よりも細い超極細超伝導線の開発に挑戦しています」と菊池研究員。

常に一歩先の未来を見据えて、NIMSは超伝導線材の最前線をひた走る。

もっと知りたい! 超伝導線材のウラのウラ
BOOK
どっぷり浸かるサイエンスの世界
オトナ科学本
\今月はコチラ!/
本の表紙写真「ご冗談でしょう、ファインマンさん」
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」
R.P.ファインマン 著/大貫昌子 訳
岩波書店
★YouTube動画ネタ担当・広報室併任研究者Yのイチオシ

30年ほど前、大学の英語の授業で取り上げられて、面白くて自ら買い足して読みました。量子電磁学でノーベル物理学賞を受賞したリチャード・P・ファインマン先生自身によるエッセイなのですが、サイエンスの話はほとんど出てきません。その代わり、金庫破りに熱中した話やサンバ音楽にハマった話、チャレンジャー爆発事故の記者発表で予定外のデモンストレーションを行ってアッとさせた話など、先生の奇想天外なエピソードがたくさん紹介されています。ただ、単なる笑い話に留まらず、研究のアイディアや発想のヒントが満載で、物事の本質に目を向け続けることの大切さを教えてくれます。
 非常に人望の厚い方だったようで、海外の懇親会などで先生の話をすると、すごく盛り上がるんですよ。研究者は堅物なイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、この本を読むと見方が変わるはずです。私も先生のような自然体の研究者であり続けたいと願っています。

あらすじ

物理学の巨匠ファインマンが、自らの人生をユーモアたっぷりに語る回顧録。固定概念に捕らわれず、科学に対してまっすぐに向き合った著者の情熱溢れる逸話が満載。

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