NIMS Award 2019授賞式/受賞記念講演
2019年の受賞者
本年度のNIMS Award受賞者をGerbrand Ceder氏（Professor, UC Berkeley）とPierre Villars氏（Director and Owner, Material Phases Data System）の２名に決定いたしました。
Gerbrand Ceder氏
Professor, University of California Berkeley, USA
受賞理由
Pierre Villars
氏
Director and Owner, Material Phases Data System, Switzerland
受賞理由
Ceder氏の「第一原理計算に基づくデータ駆動型材料研究の先駆け」、Villars氏の「無機材料データベースPauling Fileの開発」が本年のNIMS Award 2019の対象分野「データ駆動型材料開発」において世界的に傑出した業績として評価されました。両氏の研究成果は、物質・材料研究においてデータ科学を活用する新たな領域を切り拓いた実践的研究またはその基盤となった研究として社会に大きな影響を及ぼしました。
NIMS Award受賞記念講演
- 10:20～11:05
-
Gerbrand Ceder氏
“Modeling and Data-driven Synthesis Modeling”
- 11:05～11:50
-
Pierre Villars氏
“Principal Concept of Database Creation Aiming Holistic Views on the Fundamentals of Materials Science”
受賞理由
Gerbrand Ceder
氏
経歴
Professor, University of California Berkeley, USA
- 研究分野
- データ駆動型材料研究
- 研究成果
- 第一原理計算に基づくデータ駆動型材料研究の先駆け
- 成果の概要
- 第一原理計算データと統計熱力学を結びつけるアイデアを具現化して計算材料科学の新時代を切り拓き、大量の計算データに基づく材料設計の有効性を示すことで「データ駆動型材料研究」の先駆けとなった。リチウムイオン電池正極材料や固体電解質、熱電変換材料をはじめ、様々な機能性材料の設計・開発に成果を上げている。
- 業績の学術界・
産業界への波及
- 大量の第一原理計算データを蓄積して、それに基づいて効率的に材料設計するという手法の有効性を実証し、学術界・産業界に大きなインパクトを与えた。その後の計算データインフラストラクチャ―の構築に与えた影響も大変大きく、近年のデータ科学を活用した材料開発の流れを作り出した。
Pierre Villars
氏
経歴
Director and Owner, Material Phases Data System, Switzerland
- 研究分野
- データ駆動型材料研究を支える基盤研究
- 研究成果
- 無機材料データベースPauling Fileの開発
- 成果の概要
- 無機材料の結晶構造、状態図や特性を有機的にリンクさせるデータベースのコンセプトを提唱し、1900年以降の1000種類以上の科学雑誌で発表された18万本以上の文献から、独自のキュレーション手法により高品質で網羅的な世界最大の無機材料データベース “Pauling File”を開発した。結晶構造約335,000件、状態図約44,000件、特性約400,000件を収録し、現在も更新を継続している。（2019年７月現在）
- 業績の学術界・
産業界への波及
- 構築された無機材料データベースが基となり、現在NIMSが提供するデータベースAtomWork及びAtomWork Adv. を初め、 ICDDのCrystal Structure Data in PDF-4+ など8個のデータベース製品、またLandolt-Börnstein Handbook of Inorganic Substances (Springer)、Inorganic Substances Bibliography (DeGruyter) など8種のハンドブックとして出版され、世界中で広範に利用されている。近年、本データベースを活用した「データ駆動型材料研究」が活発化しており、当該領域を支える重要なデータ資源と位置付けられる。
NIMS Awardとは
2007年度より物質・材料に関わる科学技術分野において過去数年間に飛躍的な進歩をもたらした個人、もしくはグループにNIMS Award（NIMS Award for Recent Breakthrough in Materials Science and Technology）を授与してきました。毎年、対象となる分野における国内外のトップ科学者から候補者の推薦を受け、中立有識者で構成される委員会により選考しています。
2016年受賞者：吉野彰氏、水島公一氏
過去の受賞者
2018
佐川 眞人 氏
宮﨑 照宣 教授
2017
Prof. John Ågren
Prof. Bo Sundman
石田 清仁 教授
2016
水島 公一 氏
吉野 彰 氏
2015
Prof. Harald Rose
Prof. Maximilian Haider
Prof. Knut Wolf Urban
2014
Prof. Krzysztof Matyjaszewski
澤本 光男 教授
2013
細野 秀雄 教授
2012
Prof. Harry K.D.H. Bhadeshia
Prof. John William Morris, Jr.
Prof. Subra Suresh
2010
Prof. Jean Marie Tarascon
2009
片岡 一則 教授
2008
Prof. Anthony G. Evans
2007
Prof. William H. Butler