データ駆動高分子設計グループ 国立研究開発法人 物質・材料研究機構

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Research

概要

データサイエンスを駆使した高分子材料開発

データ駆動高分子設計グループは、経験と勘に依存した材料開発から脱却し、ビッグデータと計算・情報科学を駆使した、材料開発のパラダイムシフトに挑みます。

高分子は、多様性の材料です。力学物性、熱物性、電子・光機能といった様々な因子が、複雑に絡み合って高分子らしさを作り出しています。そのため、高分子の材料開発は、研究者・技術者の経験と勘がものをいう分野でもありました。

我々が取り組む課題の本質は、データサイエンスが高分子材料の複雑さに、どこまで踏み込んでいけるかにあります。

データを使い、データを作る。一つ一つが新しいチャレンジですが、その先にあるパラダイムシフトに向けて、高分子材料開発の革新的なスキームを作り上げていきます。

研究内容(内藤 昌信)

様々な機能を持った高分子のフィルムや接着剤への応用を研究しています。最近では、機械学習と材料開発の融合にも取り組んでいます。

研究キーワード

機械学習、生体模倣、接着

研究内容(佐光 貞樹)

「高分子多孔質体の創製・評価・応用」

『多孔質高分子』を「作る」「測る」「使う」

生活の名脇役

私たちは、”内部に『孔』のあるプラスチックやゴム”である『多孔質高分子』を研究しています。『多孔質高分子』は、化粧パフ、断熱フォームなどの日用品から、電池用セパレータ・医療用中空糸フィルタといった先端機器にも多く使われています。普段はあまり意識されていないですが、実は私たちの快適ライフを支える名脇役なのです。身の回りを見渡していただければ、さまざまな場面に多孔質高分子が使われているのが分かっていただけるでしょう。多孔質高分子以外でも、木材や骨といった自然素材・生体材料も多孔質構造は多く使われています。

研究の面白さ

この多孔質高分子が産業的に有用でかつ研究対象として面白いの理由は、 「そこに材料がない=孔がある」ことが、孔のない材料では実現できない多彩な固有機能を生み出す、究極の多機能材料だからです。機能の一例には、軽量・緩衝・分離・吸着・保持・断熱・音響などがあります。これらの機能を組合せることで、数多くの多孔質高分子が生み出され、幅広い産業分野の多様な用途で活躍しています。私たちは社会ニーズの変化に対応する新たな多孔質高分子の開発に取り組んでいます。

目指す材料技術

この多孔質材料を自在に活用するためには、ナノからマクロスケールで多孔構造を制御して最適形状(膜・繊維・粒子・構造体など)に作り込む高度な多孔化手法、AI技術を活用した3次元・マルチスケール構造評価法、新たな社会ニーズを捉える鋭い感性で新たな用途開拓と性能評価法の開拓に挑戦しています。これらの研究を通じて、まだ見ぬ世界との出会いに期待しつつ、新材料創製を目指して「何もないこと」の本質を問い続けていきたいと考えています。

研究キーワード

高分子多孔体、メソ多孔体、ナノ結晶、分離膜、断熱材、吸音材、X線CT、3次元構造、画像解析、機械学習、深層学習、相分離、多孔質繊維、ナノファイバー、微粒子、透明材料、ナノコンポジット

研究内容(中村 泰之)

材料の性質を分子の特徴からとらえ、高分子材料を創る「高分子合成」、「有機・高分子化学」の研究を行っています。精密重合反応や高分子反応を利用して高分子の構造と性質を操り、特徴的な物性を持つ材料の開発を目指しています。

研究キーワード

高分子化学、精密重合、自動化を利用した合成開発

「分子化学で高分子・有機材料を創成し物性を操作する」

様々な用途で用いられる高分子材料は、その構造を小さく見ていくとすべて分子構造にたどり着きます。高分子の分子構造は色や密度など性質のほか、液体に浸したときにしみるかや、固体にしたときの硬さなど様々な材料物性を決定します。逆に、ある材料が特徴的な物性を持つときや材料が劣化したり破壊されたりしたときに何が原因なのかの答えも分子構造は与えてくれます。

高分子合成は(モノマーや原料)分子と反応を駆使して高分子を一から作り上げることのできる唯一の方法です。とくに目的の化学構造や高分子鎖の長さ、複雑な構造を持つ高分子を設計通りに作ることを可能にする精密重合は、次世代の機能性高分子の創成には不可欠な手法です。精密重合法に加えて高分子の変換反応や分子の相互作用などを利用することで、所望の物性を持つ高分子の合成や機能の付与、物性メカニズムの解明、リサイクル性や分解など社会的課題へ対応する高分子材料に取り組んでいます。さらに合成開発の新しい取り組み方としての自動化と機械学習の利用を積極的に行っています。これらの開発を通してNIMS発の高分子材料を目指しています。

図:反応性化学基の熱的コントロールにより固体↔流体の変化が可能な架橋高分子

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