NIMS/電子・光機能材料研究センター

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ナノフォトニクスグループ

【スタッフ】

岩長 祐伸; 不動寺 浩; 何 亜倫(スタッフの紹介

【目的】

  • メタ表面(メタマテリアル)、フォトニック結晶など、光の波長よりも小さな構造体で構成されたナノフォトニクス材料の研究開発を進めます。
  • 精密な設計と高精度な加工技術に基づいて作製した人工微細構造により、自然界には存在し得ない特異な光機能を持った材料を実現します。
  • センサなどの応用展開を目指す一方で、新現象を探索する基礎研究にも力を注いでいきます。

【アプローチ】

  • 極微細加工装置によるトップダウン、自己集積化によるボトムアップ、双方のアプローチを駆使して、高度に制御されたナノフォトニクス材料を実現します。
  • 対象とする光の波長よりも十分小さな構造を表面に正確に作ったメタ表面のバイオセンサや赤外線センサへの応用を進めています。
  • 球状コロイド粒子やコロイド量子ドットの3次元的な自己集積化技術を開発し、歪み可視化やレーザなどへの応用を進めています。


図1 超高感度で標的配列のDNAを検出するメタ表面バイオセンサ(上)と特定のガスの濃度を高精度に計測するメタ表面2波長赤外検出器(下)


図2 コロイドフォトニック結晶のRoll-to-Roll連続成長(左)とペロブスカイト量子ドットの高品質薄膜化(右)

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不動寺 浩(ふどうじ ひろし)

メール:FUDOUZI.Hiroshi@nims.go.jp

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主な取り組み:高品質コロイド結晶薄膜塗工とスマート構造色機能材料

概要: 粒子径の揃ったコロイド粒子が規則配列したコロイド結晶は最密型及び非最密型の2つに分類され、NIMSでは両タイプのコロイド結晶を対象としプロセス技術や構造色材料に関する先駆的な研究を行ってきた。例えば、フォトニックラバーは変形によって構造色が可逆的に変色する弾性材料でゴムシート上にコーティングした新材料である。一方、インフラ構造物のひび割れや塑性変形を色変化として視認できる歪み可視化シートを開発した。急増している高齢化インフラ構造物の異常を目視やスマホで簡単・簡便に検査する新技術としての応用が期待される。その基盤となる均質・均一で結晶性の高いコロイド結晶薄膜を1000cm2に成膜するプロセス技術を確立している。

特徴

  • コロイドフォトニック結晶の成膜プロセス(面心立方格子(111)面配向、積層数制御)
  • A3スケールサイズまで大型化及び湾曲面への塗工成膜(ラボレベル対応)
  • 応力や歪みを構造色で可視化する新材料フィルム(変形による構造色変化を視認)
  • 実用化機能付与:歪み可視化シート(耐候性)、フォトニックラバー(耐久性)
  • コロイド粒子懸濁液の製造(粒子濃度:10wt%ー20ℓ、任意粒径:150〜450nm)

主な研究1 【オイル被覆法によるコロイド結晶薄膜塗工】

 

A:高品質コロイド結晶薄膜の縦型成膜装置。内挿写真は界面付近の拡大部。乳白色コロイド懸濁液から溶媒蒸発による濃縮に伴うアルダー相転移により非最密型のコロイド結晶が形成。赤色から緑色へ構造色の変化(粒子間隔の縮小)、最終的に最密充填型のコロイド結晶薄膜を形成。基板は固定され、ステージに搭載された懸濁液タンクが下方に移動によりコロイド結晶薄膜を基板上に形成する。ステージの駆動制御は一定速度選択と結晶化を反射分光ファイバーで計測し、ステージ駆動にフィードバックする2種類の制御方式。 B:A3サイズにスケールアップした成膜装置。さらに、ステージ駆動を使用しないポンプ吸引方式の塗工装置も開発済み。

主な研究2 【コロイド結晶薄膜による構造色材料】

A:同軸照射撮影、熱可塑性(PVC)シートにポリスチレンコロイド粒子とシリコーンエラストマーで構成されるコロイド結晶薄膜。シートの加熱変形で構造色を赤色から青色まで選択可能、構造色は可視光領域のブラッグ回折ピーク、波長位置のシフトで構造色も変化。 B:フォトニックラバー、弾性変形で構造色が可逆的に変化する。繰り返し変形に対する耐久性試験を実施、25万回の繰り返し伸長後でもフォトニックラバーとしての機能することを確認。 C:歪み可視化シート、コンクリート橋梁での現場施工、曲げ試験で生じたひび割れを緑色に変色、屋外に暴露して供用する歪み可視化シートでは表面保護層を形成(暴露試験で約5年の耐候性を確認)。

まとめ:A3スケールサイズの高品質コロイド結晶薄膜、フォトニックラバー、歪み可視化シートなどの試験片供与を行っている。また、成膜プロセスの技術移転も可能。構造色だけでなく、近赤外領域を含むフォトニックバンドギャップによる光学フィルターなどへの応用も期待できる。現在、工学応用として量産化の基盤となる、ロール・ツゥ・ロールの連続成膜プロセスの基礎技術の確立を目指している。

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岩長 祐伸(いわなが まさのぶ):グループリーダー

メール:IWANAGA.Masanobu@nims.go.jp

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主な取り組み:光メタ表面バイオセンサシステム

概要:新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を経て、バイオセンシング技術の重要性は社会に広く認知されるところとなった。とくに検出性能が高く、広範な生体分子を特異的に検出でき、なおかつ短時間で結果が得られるセンシング技術への需要が大きい。検出性能を追求した結果、大型高額な検査装置となり、既存技術では需要とのミスマッチが起きており、この点にも対応できることを念頭にバイオセンシング技術の開発を行った。メタ表面は人工的な設計により特定の機能を発現するナノ構造表面であり、世界中で研究開発が行われている。メタ表面のなかで蛍光物質を特に高輝度化するものを見出し、これらを活用して蛍光バイオセンシングへの応用を進めてきた。これまでに癌マーカー抗原などのタンパク質からセルフリーDNAなどの核酸に至る多様な検出対象のセンシングに成功している。

特徴

  • 蛍光を高輝度化するメタ表面はNIMSで独自に発見した。
  • この蛍光増強メタ表面は世界的に見ても、増強性能と再現性を両立する最上位の性能を示す。
  • 夾雑環境下(血清中)の癌マーカー抗原を医療診断基準の数十倍低濃度であっても検出できる。
  • 短サイクルの核酸増幅法と組み合わせることにより、1分子と0分子を区別できる単一DNA分子検出を実現した。
  • この単一DNA分子検出はデジタルPCR法など既存の超高感度検出法でも実現できていない性能である。

主な研究: メタ表面基板(6チャンネル用)の写真を(A)に示している。白いスケールバーは10 mmを表す。拡大図は電子顕微鏡写真であり、シリコンナノペレット周期列からなり、周期長は300 nm、ナノペレットの高さは200 nmである。黒いスケールバーは500 nmを示す。このメタ表面は570~600 nmの波長域の発光を高輝度化する特性をもつように設計されている。[M. Iwanaga, Biosensors 13, 377 (2023).]

セルフリーDNAの検出工程の概略を(B)に示す。運動効果により誘発される特定のセルフリーDNA配列を標的として、30サイクルの核酸増幅を行った(通常は40サイクル行い、さらに約1000倍増幅するが、疑反応が起きる可能性も高まる)。増幅核酸にビオチンおよび蛍光ラベリングを施すことにより、メタ表面センサ上に標的増幅物に効率的に固定し、蛍光検出することができる。右端に蛍光(FL)放出を概念的に示している。この検出方式により、1分子と0分子を区別できる単一セルフリーDNA検出を実証した。[M. Iwanaga et al., Nano Letters 23, 5755 (2023).]
このように超高感度な検出が簡便なセットアップで実現できたことは、マイクロRNAなどの次世代医療マーカーの検出を容易にし、新規の健康サービス創出に寄与することを目指している。

まとめ

  • 超高感度な蛍光検出を行うメタ表面バイオセンサ開発およびその自動検出システム化を進めてきた。
  • タンパク質検出から核酸検出の多様な場面で活用できる。
  • DNA検出に関して、単一分子検出という究極的な性能を実現している。

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何 亜倫(ほ やりゅん)

メール:HO.Ya-Lun@nims.go.jp

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概要:Low-dimensional materials have emerged as promising candidates for applications in nanophotonics and optoelectronics due to their unique optical properties and atomic scale. A major issue in developing practical low-dimensional materials-based nanophotonic devices is realizing photonic structures via on-chip fabrication with low-dimensional materials, enabling strong light-matter interaction within atomic scale. In my research, I design and develop nanophotonic, plasmonic, and metasurface platforms, as well as original nanofabrication techniques, specifically tailored for low-dimensional materials.

特徴

  • High-quality low-dimensional material-based nanophotonic structures for on-chip integrated devices
  • Large-area and non-transfer top-down nanofabrication technologies tailored to colloidal quantum dots and 2D materials
  • Compatibility with well-established semiconductor fabrication processes
  • Nanophotonics and metasurface design enabling efficient coupling of light into the atomic scale, ensuring strong light-matter interaction and high quality factor

主な研究: Here, the works based on perovskite QDs, including on-chip integrated single-mode lasers, nanolaser-waveguide coupled photonic circuits, metasurface-based surface-emitting lasers, and plasmonic hot-electron photodetection devices, have been developed and presented by utilizing superior quantum efficiency and recrystallization properties of perovskite QDs.

まとめ:My research positioning is to bring the potentials of low-dimensional materials into real integrated nanophotonics by coupling these advanced photonic materials, new-design nanophotonic platforms, and original on-chip nanofabrication, and further to push the limits of nanophotonics via low-dimensional materials.

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