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非晶質材料グループ

【スタッフ】

瀬川 浩代; 大垣 武; 早瀬 元 (スタッフの紹介

【準備中】

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瀬川 浩代(せがわ ひろよ):グループリーダー

メール:SEGAWA.Hiroyo@nims.go.jp

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主な取り組み:ガラス・アモルファス材料の機能探索

概要:酸化物ガラスは簡便に作製でき、透明で化学的耐久性の高い材料として幅広く応用されている。酸化物ガラスの酸素を窒素に置き換えたガラスは酸窒化物ガラスとして知られており、窒素の導入に伴って化学耐久性や耐熱性、硬度などの機械特性や屈折率などの光学特性など種々の物性が向上することが知られている。しかしながら、窒素の導入においては窒化物原料を用いた場合には加熱による分解が起こってしまうため、安定な融液の形成が難しく、十分なバルク物性の検討は進んでいない。本研究では、アンモニア気流中での熱処理によって窒素を導入することで様々な酸窒化物ガラスの作製とそのバルク物性の調査を行うことで、機能性酸窒化物ガラスの作製を目指している。また、陽極酸化を用いてアモルファス酸化物の作製も行っており、光学特性や機械特性、電気特性に着目した機能性開拓についても進めている。

特徴

  • 酸窒化ケイ素ガラスの作製によってシリカガラスより200℃程度高いガラス転移温度と高い屈折率、ヤング率を実現
  • 酸窒化ケイ素系ガラスを用いた発光性ガラスの作製に成功
  • 酸窒化リンガラスを作製し、放射性廃棄物として固化の難しい塩化セシウムの固化に成功
  • 陽極酸化アルミナ膜の構造制御により色素等の利用なしに様々な発色を発現

主な研究1: 陽極酸化による皮膜の形成は古くから知られているが、本研究では、交流陽極酸化を用いることで既存の発色とは異なる光沢性の高い陽極酸化皮膜の形成を進めてきた。既存技術では基板に垂直な方向にナノメートルサイズの細孔が形成され、細孔内部に色素の導入などを行うことで色を制御している。色素は高温での耐久性は乏しく、退色も起こりやすい。一方、本研究で得られた皮膜ではナノメートル厚のアルミナ膜が積層をなしており、各膜の厚さを電気化学的に制御することによって発色を制御することが可能である。図2には種々の条件で作製したアルミナ皮膜の外観を示す。電圧の制御によって色の制御が可能であることが確認されている。アルミナ自体による発色のため、高温においても耐久性が高い。また、積層構造のため亀裂の進展が起こりにくく、靱性の高い皮膜となっている。

主な研究2: 酸窒化ケイ素ガラス中の窒素濃度の増加に伴って、ガラス転移温度やヤング率の上昇が確認された。図1には各種ガラスのガラス転移温度とヤング率の関係を示す。現状できている酸窒化ケイ素ガラスは赤の領域となる。シリカガラスよりも高いガラス転移温度と高いヤング率を示している。透明なガラスができており、高温での耐久性を保有しており、リソグラフィ用の基板や車載用や高輝度プロジェクタ用のレンズなどに利用が期待される。 Euイオンをドープした発光性酸窒化ケイ素ガラス薄膜で紫外線を吸収して可視域の発光が可能である。太陽電池のカバー材料に塗布することで紫外光を効率よく利用できる波長変換機能として期待される。 酸窒化リンガラスでは、リン酸塩ガラスよりも高い化学耐久性を有していることが確認されており、放射性廃棄物である塩化セシウムの固化用ガラスやイオン伝導体として電池用の電解質材料としての応用が期待される。

まとめ:酸窒化ケイ素ガラスに関する技術:シリカガラス以上の耐熱性を持つガラス材料として耐熱性の必要な部品などへの応用可能性がある。また、蛍光ガラスについてはガラス膜として太陽電池の効率アップに貢献できる機能性膜となる可能性がある。 酸窒化リンガラスに関する技術:リン酸塩ガラスと同様のイオン溶解性を有しつつ高い化学耐久性を有するガラスとして、放射性廃棄物固化用のガラスマトリックスやプロトン伝導ガラスとしての応用が期待される。 陽極酸化技術:発色性を利用して色材としての応用が期待される。また交流電解によって靱性の高い皮膜が形成できており、直流電解の膜に比べてクラックの入りにくい皮膜へと応用ができる。

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大垣 武(おおがき たけし)

メール:OGAKI.Takeshi@nims.go.jp

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主な取り組み:岩塩型窒化物半導体の光・電子デバイスへの応用

概要:GaNに代表されるIIIb族窒化物の光・電子デバイス研究の進展に伴い、ScNの半導体分野への応用が期待されている。ScNは、岩塩型結晶構造のIIIa族窒化物であり、大きな非化学量論的組成に起因する欠陥から生成された高濃度キャリアを有するn型半導体であり、高い電子移動度を示す。また、(111)配向した岩塩型ScNとc軸配向したウルツ鉱型GaNは格子整合し、岩塩型ScNと閃亜鉛鉱型GaNの格子定数も一致することから、小さな格子不整合を利用したGaN/ScNヘテロ構造など、GaN系半導体との融合も期待されている。

特徴

  • 新しい窒化物半導体材料の探索
  • 岩塩型窒化物のヘテロエピタキシャル成長
  • 大きな非化学量論的組成を持つScNの物性制御
  • 岩塩型窒化物とGaN系半導体との固溶・積層化

主な研究: Scは用途が限られているために高価な元素の部類に含まれるが、地球上に豊富に存在する資源的に恵まれた材料である。その窒化物であるScNは、岩塩型結晶構造の化合物であり、非化学量論的組成に起因する欠陥から生成された高濃度キャリアを有するn型半導体であるにもかかわらず、高い電子移動度を示す。しかしながら、その物性には不明な点が多い。 本研究では、分子線エピタキシー法により高品質なScN薄膜を合成し、その物性を明らかにするとともに、岩塩型半導体の半導体素子への応用の可能性を検討している。

まとめ:成長条件の最適化により、高品質なScN薄膜のヘテロエピタキシャル成長に成功し、ScNが大きな非化学量論的組成を持ち、その組成により光・電子物性が大きく変化することを明らかにした。非化学量論的組成の制御やドーピングによる物性制御が実現すれば、ScNの半導体素子への応用が期待できる。

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