最新の成果Latest Research Results

2024 Topic3

金属積層造形プロセスの熱蓄積フィードバック制御

草野 正大

構造材料研究センター 材料創製分野
積層材料グループ 主任研究員
草野 正大 Masahiro Kusano

金属積層造形法は、設計通りの形状を高精度に製造できる一方で、形状によってはプロセス中に熱蓄積が生じ、造形製品の微細組織や材料特性が変化、さらには割れなどの欠陥を引き起こすことがある1, 2)。そこで、造形パラメータの1つである層間インターバルに着目し、有限要素熱解析と温度場モニタリングにより熱蓄積への影響を解明した2)。さらに、この知見を基に、造形中の部材温度を目標値に保持するフィードバック制御積層造形を実現し、段階的に微細組織と力学特性が変化するユニークなニッケル基超合金部材の創製に成功した3)。

成果図

草野さんへQ&A

層間インターバルとは?

層間インターバルとは、1層を造形するのに要する時間のことです。造形の流れは「粉末を敷く ➔ レーザ照射で溶かす ➔ 次の層に移るまで待つ」という順番で進みます。この待ち時間(アイドリング)が長いほど熱が逃げ、材料の温度は下がっていきます。一方、層間インターバルが短く、入熱量が抜熱量を上回ると、材料温度が上昇します。この現象を熱蓄積と呼びます。

フィードバック制御積層造形はNi基超合金以外の金属でも可能?

レーザ粉末床溶融結合法は、粉末を薄く敷いてレーザ照射で溶融・凝固できれば、鉄やアルミ、チタンなど幅広い材料に応用できる技術です。
ただし、フィードバック制御はまだ研究段階にあり、多くの場合はレーザ出力を調整しています。本研究では、目標温度を維持するために層間インターバルを制御する点に独自性があります。

草野さんは、いつもどんな想いをもって研究活動をしていますか?

自分にとっては「冷蔵庫にある食材で適当な賄い料理を作る」ことに似ています。すぐには使い道が思い浮かばないものでも、ストックしておくとある日ふいに出番がやってくることがあります。
金属積層造形については、早く「枯れた技術」へと成熟してほしいと願っています。「プロセス–結晶組織–材料特性の相関解明」を目指す私たちの基盤研究は、その成熟を後押しする一助になっていると思います。その後のことを考えています。

本成果に関する論文はこちらから!