概要

責任者ご挨拶

物理-化学連携による持続的成長に向けた高機能・長寿命材料の探索・制御 (「富岳」材料物理化学課題)
本研究課題では、電池・触媒、磁性、高分子、構造材料の4つの材料分野について、ミクロスケールからの材料開発ブレークスルーを目指し、「富岳」を最大限活用する物理−化学の基本原理に立脚した計算/AI・データ科学研究を実行することで、世界最高水準の基礎研究を遂行しつつ、産業界との連携による我が国の産業競争力強化とSociety 5.0・カーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目的としています。電池、磁性、高分子分野については、R2-R4の「富岳」成果創出加速プログラムの「富岳」電池課題(*)、「富岳」磁石課題(*)、「富岳」高分子課題(*)のメンバーが数多く参画した形となっており、各課題でこれまで築き上げてきた「富岳」活用計算技術、研究力、人的ネットワーク、産業連携を有機的に融合していきます。さらに本研究課題では触媒、構造材料分野を新たに組み入れた真の大規模連携を構築することで、我が国のエネルギー・モビリティ・素材産業のほぼ全てに対して貢献し、産業界に新たな基軸や変革を与えることができる研究課題となっています。

対象は電子・イオン・原子・分子といった粒子系のシミュレーションを中心に、スピンや粗視化モデルまでを主な対象とし、それらを支配する量子力学、熱力学、統計力学などを土台とする物理・化学分野の計算手法を用いながら、高機能性・長寿命化(劣化抑制)に関するミクロスケールメカニズムに立脚した材料探索や制御機構の解明を行っていきます。例えば、全固体電池実用化に向けた高イオン伝導度固体電解質材料・界面、希少金属に頼らない高性能永久磁石材料、我が国のエネルギー消費の数%を占める分離プロセスの省エネルギー化をもたらす環境適合型の高分子分離膜材料、高硬度・高耐食性を有する鉄鋼材料、次世代構造材料として期待される5種類以上の構成要素からなるハイエントロピー合金、などの探索・制御を主な対象とし、材料提案とその土台となる新規学理の構築にも取り組んでいきます。

我が国および世界の未来のために、そして材料科学・技術の発展のために、本課題のメンバー一同努力してまいる所存ですので、ぜひとも皆様のご支援をいただきますようお願い申し上げます。

課題責任者:館山 佳尚
(国研)物質・材料研究機構


※R2-R4「富岳」成果創出加速プログラム:領域3産業競争力の強化:材料系採択課題
「富岳」電池課題:次世代二次電池・燃料電池開発によるET革命に向けた計算・データ材料科学研究
「富岳」磁石課題:大規模計算とデータ駆動手法による高性能永久磁石の開発
「富岳」高分子課題:環境適合型機能性化学品
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