研究者による公開講義

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あなたの知らない材料研究の世界

大学生・大学院生に向けて、第一線で活躍中の研究者が材料研究の魅力をご紹介。
あわせて開催するラボ公開では、実際の研究現場も体感できます(自由見学)。
学部・専攻は問いません。新しいものをつくることが好きな人、最先端研究に興味がある人はぜひご参加ください。(事前予約不要、先着順)

※プログラムは日本語で行われます。
※プログラムにより、開始時刻、所要時間が異なります。詳細は、各プログラムにてご確認ください。
※終了時間は、プログラムの進行状況により前後する場合があります。

講義一覧

午前 10:00~11:00 講1材料研究入門(千現)
講2AI・計算科学を用いた熱電材料開発(千現)
講3ナノテクノロジーの今と未来(並木)
講4機能を探る・機能を創る・機能を操る(並木)
10:30~11:30 講5NMRと超強磁場マグネット開発(桜)
午後 13:00~14:00 講6建物を地震から守る制振ダンパーの開発(千現)
講7オペランド・ナノ材料計測の最前線(千現)
講8生体・医療材料の研究開発(並木)
講9二次電池電解液ハイスループット探索(並木)
13:30~14:30 講10液体水素に関する材料技術の研究(桜)
14:20~15:20 講11スピントロニクス入門(千現)
講12AIとデータ科学を駆使する材料イノベーション(並木)
講110:00~11:00 【千現】研究本館管理棟 1階 第一会議室

材料研究入門~材料の面白さ、奥深さを伝えたい~

宝野 和博 理事、磁性・スピントロニクス材料研究拠点 拠点長
(専門分野)磁性材料、金属材料組織

磁石材料の第一線で活躍してきた講師の研究成果を例にとり、原子の並び方や、ナノスケールの構造を制御することで、金属系材料の強度や磁気特性を大きく変えられることを紹介します。若い方々に材料研究の面白さ、奥深さを伝えたいと思います。 材料に興味がある学部生の方、材料以外の専攻の方も歓迎します。

講210:00~11:00 【千現】研究本館管理棟 1階 第二会議室

AI・計算科学を用いた熱電材料開発

高際 良樹 エネルギー・環境材料研究拠点 熱電材料グループ 主任研究員
(専門分野)熱電変換、材料物性、計算科学、機械学習

熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる「熱電変換材料」について研究開発を行っています。環境中のわずかな温度差を利用した、メンテナンスフリーで長期利用が可能な各種センサーを駆動させるための自立電源を開発することが目的です。講演では、AI(機械学習)や計算科学を巧みに利用して、無害かつ安価な新規材料を開発している現場の最前線をお伝えするとともに、私たちの考える材料開発の理念についてもお話しさせて頂きたいと思います。新材料開発の難しさと楽しさとやりがいについて少しでも皆さんと共有出来たら幸いです。

講310:00~11:00 【並木】WPI-MANA棟 1階 オーディトリアム

ナノテクノロジーの今と未来~細部が操る~

吉川 千晶 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 メカノバイオロジーグループ 主任研究員
(専門分野)生体適合材料、高分子化学

土屋 敬志 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 ナノイオニクスデバイスグループ 主任研究員
(専門分野)ナノイオニクス 、 デバイス物理

岡本 章玄 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 独立研究者
(専門分野)電気化学、微生物学

MANAは、従来の微細構造を単純に作るナノテクを超え、ナノ構造に応じて発現する機能を自在に“操る”、独創的な研究でナノテク分野をリードしています。今回は、MANAの誇る新進気鋭の若手研究者3名が、自身の研究を通して、物理、化学、生物、工学などの既存の学問分野の垣根を超えて発展する、ナノテク研究の現在と未来、研究の面白さ、研究者へのキャリアパスについてお話しします。
研究者を目指す若い皆さん、科学技術に関心のある方々、ぜひご参加ください !

講410:00~11:00 【並木】共同研究棟 4階 大ゼミナール室

機能を探る・機能を創る・機能を操る~フェムトからギガの世界~

大橋 直樹 機能性材料研究拠点 拠点長
(専門分野)物質設計・半導体機能・結晶化学

機能材料の開発とは、基礎となる物理学や化学を駆使し、そもそも機能はどうして発現するか、それを実現する構造をどうやって作るか、その機能をどう利用するか、という問いへの答えを求め続けることです。そうした挑戦のなかに現れる極限の世界、すなわち、フェムトの世界やギガの世界の話題を織り交ぜつつ、材料研究の楽しさ、苦悩や喜び、さらに、今回のラボ公開で見逃せないマストアイテムを紹介します。

講510:30~11:30 【桜】研究棟 2階 大会議室

NMRと超強磁場マグネット開発
~NMR : 物質・材料のための最先端分析技術 ~

端 健二郎 先端材料解析研究拠点 強磁場NMRグループ 主幹研究員
(専門分野)固体NMR

物理・化学・ライフサイエンス分野における強力な分析手法として知られる核磁気共鳴法 (NMR) は、強磁場下でより高い性能を発揮するため、強磁場発生技術とは不可分の関係にあります。NIMSは、これまでNMR用の超伝導磁石の開発で世界記録を度々更新してきました。その開発には、NIMSにおいて長年培われてきた超伝導や超低温生成技術が活かされています。本講義では、NMR及び強磁場技術を概観した後、NIMSで開発された「世界最高磁場NMR装置」について、その特長や開発の意義をわかりやすく解説します。

講義会場まで 【無料バス】を運行します!

10:00 千現発 → 10:15 桜着

講613:00~14:00 【千現】研究本館管理棟 1階 第一会議室

巨大地震から繰り返し建物を守る疲労寿命10倍の制震ダンパー

澤口 孝宏 構造材料研究拠点 振動制御材料グループ グループリーダー
(専門分野)構造・機能金属材料、マルテンサイト変態

紹介動画「高層ビルはこうして守れ!」

「30年以内の発生確率が70%以上」とされる首都直下地震やM8~9級の南海トラフ地震など、切迫する巨大地震に備えた防災・減災の重要性が高まっています。講師らは、疲労寿命を従来比10倍まで高めた新合金を開発し、地震による建物の揺れを吸収する制振ダンパーとして超高層ビルや大規模展示場に実用化しました。大地震に繰り返し耐える高い耐久性能が注目を集めています。講演では金属の相転移、塑性変形、金属疲労の相関に注目した材料設計指針について解説し、社会貢献を目指した研究の醍醐味を伝えたいと思います。

講713:00~14:00 【千現】研究本館管理棟 1階 第二会議室

オペランド・ナノ材料計測の最前線

藤田 大介 先端材料解析研究拠点 拠点長
(専門分野)表面科学、ナノ計測、材料科学

オペランドとはラテン語で「動作中」を意味します。太陽電池や全固体二次電池などのエネルギーデバイスが動作可能な環境場において、実働状態かつナノスケールでデバイスの断面観察するオペランド・ナノ計測が国内外で急速に進展しています。
NIMS先端材料解析研究拠点では、様々な材料ニーズに対応する独自のオペランド・ナノ計測技術の開発を推進しています。オペランド・ナノ計測の最前線について応用事例を交えながらわかりやすく紹介します。

講813:00~14:00 【並木】WPI-MANA棟 1階 オーディトリアム

生体・医療材料の研究開発

陳 国平 機能性材料研究拠点 生体組織再生材料グループ グループリーダー
(専門分野)再生医療材料

田口 哲志 機能性材料研究拠点 バイオポリマーグループ グループリーダー
(専門分野)生体接着剤

荏原 充宏 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 スマートポリマーグループ グループリーダー
(専門分野)スマートポリマー

病気やけがを治療するための生体・医療材料は、細胞の機能を制御したり、体の機能を代替したりできる高い機能性が求められます。NIMSでは、様々な治療や組織再生に応用できる安全で高機能な生体・医療材料の研究開発を行っています。

本講座では、幹細胞等による生体組織の再生を促進する再生医療足場材料、傷口をきれいに貼り合わせる生体接着剤、温度や光など様々な外部環境の変化に応答するスマート医用材料に関する研究開発の最前線を紹介します。

講913:00~14:00 【並木】共同研究棟 4階 大ゼミナール室

二次電池高性能化のための、データサイエンスに基づいたハイスループット電解液探索システム

松田 翔一 エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ 主任研究員
(専門分野)電気化学、電池材料

高エネルギー密度・高寿命・高安全性を両立する蓄電デバイスに対する社会的需要は、近年ますます高まっています。代表的な蓄電デバイスであるリチウムイオン二次電池は、電極活物質や電解液といった数多くの物質から構成される多要素系であり、目標とする高い電池特性を実現するためには様々な構成要素の最適化が不可欠です。
本講義では、データサイエンスやハイスループット測定を用いた蓄電池材料開発について紹介します。

講1013:30~14:30 【桜】研究棟 2階 大会議室

液体水素に関する材料技術の研究

神谷 宏治 エネルギー・環境材料研究拠点 液体水素材料研究センター/磁気冷凍システムグループ グループリーダー
(専門分野)冷凍機

地球温暖化を防ぐ脱炭素エネルギーとして、水素が期待されています。水素エネルギーの社会実装には、水素の製造方法、貯蔵、そして輸送に必要な技術開発が急務です。特に貯蔵と輸送はエネルギー密度の観点から液体が望ましいですが、水素は-253℃という極低温で液化するため、高効率の液化方法が求められています。
本講義では、従来の気体圧縮膨張式ではなく、磁場を利用した高効率な液化方法を提案し、関連する材料研究や液化機開発の最前線をご紹介します。

講義会場まで 【無料バス】を運行します!

13:00 千現発 → 13:15 桜着

講1114:20~15:20 【千現】研究本館管理棟 1階 第一会議室

スピントロニクス入門~スピンを操る新しい電子工学と物理学~

内田 健一 磁性・スピントロニクス材料研究拠点 スピンエネルギーグループ グループリーダー
(専門分野)スピントロニクス、熱電変換

身の回りにある様々な物質の構成要素である電子は、電気と磁気 (スピン) を併せ持っています。電子の電気的な性質のみを利用してきた従来のエレクトロニクスにスピンの効果も積極的に取り入れることで、新しい機能や特性の創出を目指す次世代電子技術「スピントロニクス」が世界中で急速に発展しています。本講義では、スピントロニクス発展の歴史や基礎的なメカニズムについて概説し、その物理・材料研究の最前線をお伝えします。

講1214:20~15:20 【並木】WPI-MANA棟 1階 オーディトリアム

AIとデータ科学を駆使する材料イノベーション

伊藤 海太 統合型材料開発・情報基盤部門 材料インテグレーショングループ 主任研究員
(専門分野)非破壊評価、アコースティック・エミッション法、マテリアルズ・インテグレーション

データ科学の成否は、データの準備で決まると言っても過言ではありません。しかし、材料科学に「ビッグデータ」は無く、試験結果は一本ずつ手間暇を掛けて産み出された貴重なものです。一方、最新の現場では材料にビッグデータを作ろうとする試みも始まっています。華々しいデータ科学の成果を支える基盤技術、ご紹介します。

永田 賢二 統合型材料開発・情報基盤部門 材料データ解析グループ 主任研究員
(専門分野)データ駆動科学、ベイズ推定、スパースモデリング

データ科学を活用することによる材料開発の高速・高精度化を目指すマテリアルズインフォマティクスが近年、大々的に取り組まれています。その中で、データから背後に潜む構造や法則の抽出を目的としたデータ駆動的な方法の活用は大きな注目を浴びています。 本講演では、こうした取り組みについていくつかの事例を紹介します。