今回の見どころ

  • 最新のNIMS主要研究成果から4件の成果講演
  • 研究3部門、元素戦略材料センター、中核機能部門、ナノ材料科学環境拠点 (GREEN)、低炭素研究ネットワーク(LCnet)、つくばイノベーションアリーナ (TIA-nano)と新研究拠点事業の元素戦略磁性材料研究拠点、NIMSナノテクノロジー プラットホームをご紹介する「オーラルセッション」(定員600名
  • 最新の研究成果64件を研究者がポスターパネルで直接ご紹介する「ポスターセッション
  • 話題の研究トピックス9件をご紹介する「研究トピックスミニ講演
  • NIMSポスドク研究成果から選出した7件のポスター発表

NIMSフォーラムとは

酸化チタンによる放射性元素閉じ込め

阿部 英樹

(独)物質・材料研究機構 環境・エネルギー材料部門
環境再生材料ユニット 触媒機能材料グループ 主幹研究員

東日本大震災による福島第一原子力発電所事故により,大量の放射性物質が外部に放出され周辺に甚大な影響を与えた。そこで放出された放射性物質の吸着・除去・回収および固定化技術の開発・実証と、除染技術への実用化が強く求められている。本研究では、放射性物質の吸着・除去のための基礎的データベースの構築を図り、また熱・化学安定性に優れた酸化チタン(TiO2)を固化体材料に利用することで、現行技術を大きく上回るセシウム閉じ込め効果を実現した。

チタン酸固化体の構造図
チタン酸固化体の構造図

有機溶媒耐性の高性能ろ過フィルター

一ノ瀬 泉

(独)物質・材料研究機構 先端的共通技術部門 高分子材料ユニット ユニット長
分離機能材料グループ グループリーダー

濾過フィルターは厚みに反比例して液体の透過速度が大きくなる。しかしナノサイズまで薄くした濾過フィルターでは、機械的強度が大幅に低下するため、圧力駆動の膜分離プロセスへの利用が困難となる。本研究では、セラミックスのフィルターの上にダイヤモン様カーボン(DLC)の極薄の多孔膜を蒸着することに成功した。高強度のDLC膜には、約 1 nmの流路が形成されており、従来の1000倍の速度で有機分子を分離できる。

高性能ろ過フィルターの模式図
高性能ろ過フィルターの模式図

金属シェルに覆われた導電性ポリマー

川喜多 仁

(独)物質・材料研究機構 MANA ナノマテリアル分野
ナノエレクトロニクス材料ユニット 半導体デバイス材料グループ MANA研究者

次世代エレクトロニクス機器に搭載される3次元LSIの縦型配線やフレキシブルLED等の電極の材料には、高周波電導性や柔軟性といった特性が必要とされる。そのため、本研究では金属の殻(シェル)に覆われた導電性ポリマーの研究開発を行っている。

金属シェルに覆われた導電性ポリマーの微細構造
金属シェルに覆われた導電性ポリマーの微細構造

高効率・高品質を両立させた革新的溶接技術

中村 照美

(独)物質・材料研究機構 元素戦略材料センター
構造材料ユニット 構造体化グループ 主幹研究員

鋼構造物の高機能化、長寿命化、安心・安全化を実現するために、980MPa級の高強度鋼や低温用鋼を初めとして、高機能鉄鋼材料の適用が不可欠になっている。これらの高機能鉄鋼材料を構造体化するために高品質な溶接継ぎ手を高効率に実現できるクリーンMIG溶接法を開発した。

クリーンMIG溶接試料と適用例