金属3Dプリンタで造形したNi基超合金の試験体群。レーザ粉末床溶融結合法(L-PBF)により、出力や走査速度などの照射条件を、一枚の基板上で30種以上並列に試し、割れや空隙の発生を徹底的に洗い出した。その結果、欠陥のないNi基超合金を得られる条件を見いだした。これにより、水素燃料用の複雑な燃焼器を一体成形できる可能性が高まった。水素は燃焼温度が高く、均一に燃焼させるためには精緻な内部構造が求められる。したがって、金属3Dプリンタはクリーンな火力発電の実現に直結する。さらに、タービンブレードには先端に高いクリープ強度、根元に高い疲労強度が必要だ。金属3Dプリンタならレーザ照射条件を部位ごとに調整し、結晶組織と特性を作り分けられる可能性がある。材料設計と造形プロセスの最適化を重ね、次世代の水素火力発電を支える超合金開発が着実に前進している。
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