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Anton Bolyachkin ICYSリサーチフェロー、Hossein Sepehri-Aminグループリーダー、大久保忠勝副センター長を中心とする研究チームは、電子顕微鏡観察から得られるネオジム磁石の微細組織を有限要素モデルに取り込み、外部磁界の影響で磁石が減磁する過程を数値シミュレーションで再現することに成功しました

2024.03.07
 Anton Bolyachkin (ICYSリサーチフェロー) 、Hossein Sepehri-Amin (グリーン磁性材料グループ グループリーダー) 、大久保忠勝 (副センター長) を中心とする研究チームは、電子顕微鏡観察から得られるネオジム磁石の微細組織を有限要素モデルに取り込み、外部磁界の影響で磁石が減磁する過程を数値シミュレーションで再現することに成功しました。

 風力発電、モビリティー用途で使用されるモーターは高性能永久磁石に大きく依存しており、その中でもネオジム (Nd-Fe-B) 磁石は最も強力で需要が増大しています。しかし、ネオジム磁石の保磁力は、そのほとんどが物理的限界をはるかに下回っています。

 今回開発したネオジム磁石のデジタルツインは、微細組織と磁気特性の両方を再現するのに十分な精度を備えており、保磁力が物理的限界を下回っている原因の解明や、高性能な永久磁石の設計・開発に利用できます。例えば、自動車用駆動モーターや可変磁束モーターなど、特定の用途に必要とされる磁石の要求特性を入力すれば、データ駆動型の予測を通じて、その用途に最適な磁石の組成、プロセスの詳細、微細組織等を提案することができるようになり、用途に応じて必要とされる磁石の開発期間を著しく短縮することができると期待されます。
FIB-SEMトモグラフィーに基づくモデルの開発。(a) 熱間加工したNd-Fe-B磁石の一連のFIB-SEM画像取得。(b) ベクトル化された2次元セグメンテーションを含む画像処理。(c)粒界相と粒界三重点によって互いに隔離され密に詰まった3次元凸粒の生成。
 本研究成果は、npj Computational Materials誌 に 2024年2月12日にオンライン掲載されました。(DOI: 10.1038/s41524-024-01218-5)

  • Tomography-based digital twin of Nd-Fe-B permanent magnets, A. Bolyachkin, E. Dengina, N. Kulesh, Xin Tang, H. Sepehri-Amin, T. Ohkubo, K. Hono, npj Comput. Mater. 10, 34 (2024).
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