プレスリリース
ゾル-ゲル変化を自ら繰り返す、アメーバのような新物質を人工的に合成
~SF映画のように自律性を持って動く新たなソフトマシン開発の重要な手がかりに~
東京大学とNIMSの研究チームは、流動性の変化をひとりでに繰り返す、アメーバのような液体の人工合成に世界で初めて成功しました。
周期的なゾル-ゲル変化は、生体内では細胞分裂・傷の修復・癌細胞の転移・アメーバの運動等において頻繁に観察されます。このゾル-ゲル変化はアクチンという生体高分子が「集合と分散を自ら繰り返す」ことで実現されています。つまり、今回の成果は、アクチンの持つ機能を合成高分子がまねて、生体内で見られる生命挙動の一部を人工的に再現したと言えます。将来的には、アメーバの運動機構をはじめ、生命の自律性を考察する糸口になると考えられます。また、SF映画で描かれてきたような、生き物のように自律性をもって動く新たなソフトマシンの実現に繋がると期待されます。
本研究成果は、2017年7月13日に「Nature Communications」 (オンライン速報版) で公開されます。

プレスリリース中の図4 : 高分子溶液がゾル-ゲル振動する様子の直接観測
(a)溶液の流動性が明確に変化し、ゲル状態 (0秒、56秒、109秒、162秒) では液体は固まってゲルになっているが、ゾル状態 (24秒、80秒、140秒、197秒) では流動性がある。
(b)この溶液を管の中に入れ、傾けて静置すると、ゾル-ゲル振動にあわせて溶液が動いたり止まったりする様子が観測された。
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