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単一光子を用いた意思決定の実証に成功

光の粒子性と確率性により、速く正確な判断を実現

NICT、NIMS、CNRS及びジョセフ・フーリエ大学のInstitut NEELは、単一光子を用いて、高効率に意思決定をする全く新しい概念の知的フォトニックシステムを、ダイヤモンド中の窒素欠陥を単一光子源とし、偏光制御装置、単一光子検出器及び独自のシステムを用いた実験により実証しました。

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 坂内 正夫)、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS、理事長: 潮田 資勝)、フランス国立科学研究センター(CNRS)及びジョセフ・フーリエ大学のInstitut NEEL(ディレクター: Hervé Courtois)は、単一光子を用いて、高効率に意思決定をする全く新しい概念の知的フォトニックシステムを、ダイヤモンド中の窒素欠陥(NV)を単一光子源とし、偏光制御装置、単一光子検出器及び独自のシステムを用いた実験により実証しました。これは、NICT光ネットワーク研究所 成瀬 誠主任研究員、NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 金 成主NIMS特別研究員、CNRS及びジョセフ・フーリエ大学 Institut NEELのSerge Huant教授、東京工業大学地球生命研究所 青野 真士准主任研究者、山梨大学大学院総合研究部 堀 裕和教授らの共同研究グループによる成果です。

報酬確率が最も高い選択肢を速く正確に判断することを求められる意思決定問題は、機械学習の分野では「多本腕バンディット問題(Multi-armed Bandit Problem; MAB)」と呼ばれる問題として定式化されています。MABは、情報通信技術における周波数割当ての効率化、ウェブ広告の最適化、コンピュータ囲碁などで使われるモンテカルロ木探索の高速化など、様々な応用と密接に関連しています。したがって、効率的なMABソルバーの開発は、情報通信における新たな重要なコア技術の創成につながります。

今回、共同研究グループは、MAB解探索アルゴリズムとして独自に定式化した「綱引きアルゴリズム」と呼ぶ数理モデルの特徴を、単一の光子の持つ粒子性と確率性を用いて表現できることに着目し、それを利用して効率的なMAB解決マシンとして機能する物理的なシステムを実験的に実証しました。

今回の成果は、単一光子の物理的特性を、社会的重要性の高い様々な意思決定の局面で威力を発揮するコア技術に利用可能であることを世界に先駆けて示したものであり、新しい原理で動作する「知的フォトニックシステム」が開発できることを示唆します。

本研究成果は、英国Nature Publishing Groupが発刊しているオープンアクセス科学雑誌『Scientific Reports』(8月17日付け)に掲載されました。

単一光子を用いた意思決定システムのアーキテクチャ




本件に関するお問い合わせ

<発表者> ※研究内容については発表者にお問い合わせ下さい

NICT光ネットワーク研究所 フォトニックネットワークシステム研究室 主任研究員

成瀬 誠

E-Mail:naruse=nict.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

原子エレクトロニクスユニット NIMS特別研究員 

金 成主

E-Mail:KIM.Songju=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

ジョセフ・フーリエ大学 CNRS Institut NEEL  Directeur de recherche

Serge Huant

E-Mail:serge.huant=neel.cnrs.fr
([ = ] を [ @ ] にしてください)


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