氏名 澤田浩太 (主任研究員) 更新日 2005/11/01
E-mail : SAWADA.Kota@nims.go.jp
○キーワード
耐熱鋼, クリープ, 高温強度, 損傷評価, 寿命評価, 組織解析(TEM, EF-TEM), 転位論
○担当業務および研究テーマ
1.各種耐熱金属材料のクリープデータシート作成
2.組織解析に基づく耐熱鋼のクリープ変形に伴う材質劣化機構の解明
3.高Crフェライト鋼の組織とクリープ強度
○研究内容
耐熱鋼のクリープ強度を支える転位組織および各種析出物の組成・サイズ・分布を, 透過型電子顕微鏡等を用いて評価することによってクリープ強度を支配する因子を明らか にするとともにクリープ中の材質劣化機構を解明することを目的としている。最近の研 究では,高Crフェライト系鋼のクリープ強度を支える析出物のうち,微細MX炭窒化物 がラス境界にも分布し,クリープ中のラス境界移動を抑制することをとおしてクリープ強 度向上に寄与していることを明らかにした。また,油圧サーボ式疲労試験機を用いた高温 での応力瞬間負荷試験により,高Crフェライト鋼では応力負荷および除荷直後にマルテン サイト組織に起因する擬弾性変形が起きることおよびMXがラス境界上に連続析出する鋼 種では同一条件下で擬弾性ひずみ量が小さくなることを明らかにした。現在は,下記の課題に取り組んでいる。
●高Crフェライト鋼のクリープ中のナノ−メゾ−マクロ硬さ変化と,組織変化の関連 (疲労研究
グループとの連携)
●長時間時効・クリープ変形した耐熱鋼の弾性的性質
●フェライト耐熱鋼における引張試験による高温弾性率評価に及ぼすひずみ速度の影響
●9-12%Cr系耐熱鋼の長時間時効・クリープに伴うZ相析出挙動
○これまでの研究テーマ
1993〜1995 | ・Mg-Al固溶体合金の予変形によるクリープ延性改善 |
1996〜1998 | ・高Crフェライト系耐熱鋼におけるクリープ中の転位組織変化とクリープ強度の相関 |
1999〜2001 | ・ASME-P92鋼におけるクリープ中のMX型炭窒化物の粗大化過程解析 |
・高Crフェライト系耐熱鋼におけるMX型炭窒化物の析出サイト同定 | |
・マルテンサイトラス組織の焼戻し中の回復過程その場観察 | |
2002〜2003 | ・極低炭素9Cr鋼における組織とクリープ挙動に及ぼす窒素含有量の影響 |
・ASME-P92およびT91鋼の応力瞬間負荷試験による弾性限評価 | |
・高Crフェライト系耐熱鋼の高温での擬弾性挙動解析によるラス組織評価 |
○経歴
1994 東北大学工学部卒業
1996 修士(工学) 東北大学大学院工学研究科
1999 博士(工学) 東北大学大学院工学研究科
1999 科学技術庁金属材料技術研究所入所
2001〜 現在 独立行政法人 物質・材料研究機構
○所属学会
○学協会委員等
日本鉄鋼協会育成委員会YSF-WG主査(2005〜2006)
日本保全学会「材質劣化診断技術に関する研究調査」分科会委員(2005〜)
○リンク