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1.粒径とひずみ
2.付加的せん断ひずみ
3.ECAP法1
4.ECAP法2
5.50%圧縮後の断面上の組織
6.せん断ひずみ影響1
7.せん断ひずみ影響2
8.有限要素メッシュ
9.応力-ひずみ曲線
10.温度履歴結果
11.加工熱処理条件
12.1023K加工のひずみ分布
13.50%圧縮後の組織
14.72%圧縮後の組織
15.せん断付与加工の利点
 そこで,せん断ひずみの有無による微細化の影響を明らかにするため,結晶粒径dαと相当ひずみεeqの関係をせん断ひずみγxyを含まない領域と含む領域に分けて比較しました。
その結果を上図に示します。この図から,せん断ひずみのない領域におけるdαεeqの関係(Line A)は,
dα
∝(εeq)-1/3
によって示されます。しかし,せん断ひずみがある領域ではべき指数が-0.44となり(Line B),εeqに対してdα をより微細にすることがわかります。これは,ある粒径を目標にした場合,せん断付与加工は圧縮率の点で明らかに有利であることを意味します。例えば,25mm厚の鋼板で粒径2.5mmを目標にしたとき,通常のせん断ひずみを伴わない圧延の場合77%(初期板厚109mm)の圧縮が必要ですが,せん断付与圧延の場合には62%(初期板厚66mm)で十分です。すなわち,せん断付与加工には効率良く組織を微細化できる可能性があり,せん断ひずみを伴った加工技術の開発が求められます。

 なぜ,せん断変形が導入された領域は微細化に有利なのか?それについては,次回更新時に紹介します。