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第6回NIMS国際標準化セミナー 開催報告

2024.02.28 13:30 ~ 2023.02.28 15:50

「第6回NIMS国際標準化セミナー」開催報告

以下の日程で、「第6回NIMS国際標準化セミナー」を開催し、28名の方々に参加いただきました。

【開催日時】2024年2月28日(水)13:00-15:40
【開催方法】オンライン(Teams)
【講演内容】 
1.「次世代革新高温炉用9Cr-1Mo-V鋼の50万時間材料強度基準の策定」
       木村一弘 物質・材料研究機構 構造材料研究センター 特命研究員
木村一弘(NIMS)
木村一弘(NIMS)
2023年2月10日,内閣府に設置されたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議における議論の成果を踏まえた『GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~』が閣議決定された。このロードマップには,エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取り組みの一環として,安全性の確保を大前提として,新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む方針が明示され,革新軽水炉,小型軽水炉,高速炉,高温ガス炉及び核融合の5種類の原子力発電システムに関する計画が目標・戦略として設定された。 火力プラント等の非原子力機器の材料強度基準の策定には10万時間(約11年5ヶ月)という長時間クリープ強度の評価が必要であるが,運転温度が比較的低い軽水炉とは異なり,クリープ変形を考慮する必要がある高温で運転される高速炉と高温ガス炉の設計には,原子炉の設計寿命である60年に対応した50万時間という半世紀を超える極めて長時間のクリープ強度特性評価が求められる。本講演では,木村が主導してASME規格に策定された9Cr-1Mo-V鋼の50万時間材料強度基準について述べる。
2.「現場の課題解決から誕生した携帯形微生物観察器〜開発から社会実装まで〜」
       狩野清史 (株式会社 mil-kin 代表取締役)


狩野清史(株式会社mil-kin)
狩野清史(株式会社mil-kin)
電解水事業から誕生した「見る菌」。今考えれば、とても大胆な挑戦の決断をしたなと思います。2016年にその決断を下した背景には、多くの現場を歩いてきた肌感覚から得た直感からでした。この開発には私だけではなく、専門家や関係者の意見を聞きながら妄想と仮説を繰り返しながら進めました。また、どうしたら無名の顕微鏡が市場に受け入れられるかの戦略を考え、そのひとつがJIS規格への挑戦でした。当時、別のJIS規格の原案作成委員になっていた私は、「見る菌」が規格になったことを想定した戦略を立てたのです。その後、特許申請やプロトタイプを作成、2017年6月には販売を開始し、積極的に展示会に出展しました。現場に持ち込める携帯性やスマートフォンの画面で見る細菌類の衝撃から、多くの注文を受けることができました。2019年には晴れてJIS B 7271として制定され、またベンチャーキャピタルから資金調達をすることができ、2020年には電解水事業を譲渡。社名を株式会社mil-kinに変更し、「ミクロの視点から マクロな社会課題を解決する」というパーパスを掲げ再出発し現在に至ります。今後も新たな価値を創造し続け、世界の社会問題を解決するために尽力しまいりたいと考えております。
開催後、参加された約半数の方からアンケートの回答をいただきました。

満足度の理由につきまして、以下のような評価をいただきました。
■大変面白く聞かせていただきました。
■分かり易く、興味深かった。
■非常に勉強になりました。
■規格化、標準化の重要性が認識できました。
■NIMSでの先駆的な活動の現況とこれからの次世代研究指針のご提示に感銘を受けました。
■これまであまり目にすることのなかった、民間企業におけるJIS規格の有効活用例を知ることができた。
■狩野氏の話は、これからの実装について非常に示唆に富んでいると思いました。
■木村様の講演は材料研究と標準化活動の意義を直結するものであり、本物の体験談として、極めて有意義であり、これほど精通される方には国内には稀有と思われます。

また、今後セミナーで取り上げてほしい講演につきまして、以下のような回答がありました。
■標準化のgood practice事例、オープン・クローズ戦略の事例をもっと知りたい。
■次世代耐熱合金の研究展望など
■NIMSのクリープデータがどのように実機で使用されているのか?


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