新世紀構造材料研究(超鉄鋼)

耐食鋼タスクフォース研究

独立行政法人 物質材料研究機構

材料研究所 構造材料研究センター

305-0047 つくば市千現 1-2-1

Tel 0298-59-2302

Fax 0298-59-2301

 

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耐食鋼タスクフォース研究には常勤の研究者で25名が参加しています。そのうち17名が物質材料研究機構の職員であり他は企業やJST等からの派遣研究員で構成されています。本タスクフォースは海浜海洋環境で使用される構造物の長寿命化を目指し、海水干満帯、飛沫帯で耐食性に優れたステンレス鋼および大気環境で無塗装使用可能な低合金鋼の開発を目指した研究を進めています。

                      タスクフォースリーダー 小玉俊明

 

サブテーマ研究

1.耐食材料創製

1) 耐海水性ステンレス鋼 ⇒ 研究トピックスpdf)へ

  Cr,Mo,Ni等の合金元素を極端に増加させることなく、MnフリーでNを添加することによりスーパーステンレス鋼級の耐海水性省資源型ステンレス鋼の開発を目指しています。

また、海洋環境で使用されるコンクリート構造物用鉄筋用ステンレス鋼に関する研究を実施するとともに、生体材料チームと共同してNiフリーステンレス高耐食ステンレス鋼の生体との適合性を調べています。

   研究スタッフ  片田康行

馬場晴雄

小林能直

相良雅之

藤澤光幸

塙 隆夫

2) 低合金耐食鋼 ⇒ 研究トピックスpdf)へ

   海浜部で裸使用可能な新型耐候性鋼の開発を行っています。鉄さび中における耐食元素の状態分類を行い、開発に必要な耐食指針の確立を進めています。また、鋼構造体の耐食性評価や塗装耐食性も合わせて検討しています。耐候性鋼の加速腐食試験法については試験条件因子と腐食特性との関係について検討しています。

研究スタッフ  西村俊弥

黒沢勝登志

松本剛司

野田和彦

片山英樹

董 俊華

2.構造体化による耐食性改善

1)高窒素ステンレス鋼の溶接法 ⇒ 研究トピックスpdf)へ

高窒素ステンレス鋼の溶接技術の開発をめざして研究を進めています。

@    溶接金属のブローホール抑制と耐食性改善のための溶接材料の開発と、

溶接金属組成および組織の適正化。

A    熱影響部における Cr2N析出挙動の把握と析出抑制法の検討。特に冷却速度の速い溶接法と、Cr2Nが析出しにくい高窒素ステンレス鋼組成の検討。

研究スタッフ  小川 真

片田康行

平岡和雄

2) 溶射技術の高度化による耐海水被覆 ⇒ 研究トピックスpdf)へ

海洋構造物への適用を目的として環境遮断型の耐食溶射皮膜の開発を進めています。HVOF溶射法をベースにガスシュラウドやレーザ加熱処理を併用して、大気中で可能な限り緻密かつ清浄な皮膜を形成するプロセスを追求しています。また、溶射皮膜の海水中での腐食メカニズムを電気化学試験や海洋暴露試験から検討し、溶射に適した原料粉末の合金組成を見出そうとしています。

研究スタッフ  黒田聖治

福島 孟

川喜多仁

山田英登

岸 晃生

3.耐食性評価と解析

1)さびの化学と金属表面解析 ⇒ 研究トピックスpdf)へ

耐候性鋼のさび形成過程における表面のぬれとさび発生過程の検出およびさびの安定化仮定の評価に関する研究を進めています。

@    走査プローブ顕微鏡を用いて大気腐食機構のナノレベルからの解明を行う。

A    AFMの電流同時測定モードを用いて不働態皮膜のI/V特性と耐食性の関係を調べる。

B    低合金鋼の腐食所期過程を表面pH測定より追跡する。

C    海水中でバクテリア付着によるステンレス鋼の電位上昇機構について調べる。

研究スタッフ  升田博之

住吉英志

鷲頭直樹

野田和彦

2) 低合金耐食鋼の実環境評価とデータベース ⇒ 研究トピックスpdf)へ

  海浜部での裸使用可能な低合金鋼の開発指針の確立をめざし、実環境における帝合金鋼の耐食性評価を行っています。また、環境モニタリングとして、本研究所で開発した同心リング型腐食センサーシステムを用い銚子・宮古・つくばでの測定を続け、大気腐食現象のマクロ的な解明を目指しています。合わせて実験室レベルでは、海塩の付着現象と温湿度の変化の再現設備を試作し、大気腐食現象の再現と鋼材表面の濡れや腐食とのミクロ解析を行っています。

さらに、研究開発に裸使用されることの多い耐候性鋼も構造物に景観性を与えることおよび耐久性の一層の向上を図る目的から耐候性鋼と調和する塗装の開発を開始しています。

研究スタッフ  田原 晃

片山英樹

加治木俊行

長澤 慎