グループ紹介
研究概要
当グループでは、フェーズフィールド法(Phase-Field Method、以下PF法)を軸足に、各種材料の組織・特性解析を通じて、材料組織形成の本質理解および先進材料の改良・最適化を実現する普遍的手法の確立を目指した研究を進めています。PF法は、連続体モデルに基づく材料組織形成過程の現象論的なシミュレーション法で、その適用範囲は、現在、デンドライト成長(凝固過程)、拡散相分解(核形成、スピノーダル分解、オストワルド成長等)、規則-不規則変態、各種ドメイン成長(誘電体、磁性体)、結晶変態、マルテンサイト変態、形状記憶、結晶粒成長・再結晶、転位ダイナミクス、破壊(クラックの進展)等々、ほぼ材料学全般に広がっています。このように広範な現象を網羅しているため、複数の組織変化が同時進行している現象も扱うことができ、また外場(応力場、磁場、電場等)作用下における組織形成についても、比較的容易にモデル化できる特徴があります。近年では、イメージベースの材料特性解析とPF法を融合した次世代の材料設計法も注目を集めています。従来、イメージベースの材料特性解析においては、材料の内部組織形態を表すイメージデータには、実験的に測定されたイメージもしくは実際の組織形態を理想化したイメージ等が使用されていましたが、PF法の登場によって、この材料内部組織形態のイメージデータを、PF法の計算結果に置き換える道が拓け、現在、PF法に基づく組織形成過程に関するプロセス解析とイメージベース特性解析を連携させる新しい研究を種々の分野にて展開しております。さらに最近では、AI技術の発展に伴い、大量の実験データと最新の材料設計計算工学の手法を縦横に結びつけ、材料開発の圧倒的スピードアップ実現(試行錯誤の圧倒的効率化)する動きが世界的に活発化しており、当グループにおいても、AI分野にて培われた知見を、上記のPF法やイメージベースの材料特性解析を軸支に、材料科学・工学に展開する試みを進めています。
メンバー
専門分野・研究対象
1. フェーズフィールド法による材料組織形成の理解
PF法は、各種材料における様々な組織形成過程を記述する連続体モデルで、現象論的な解析法です。不均一な組織形態が、複数の秩序変数(空間と時間の関数)にて表現され、これら秩序変数を用いて不均一組織の全自由エネルギー汎関数を定義し、この全自由エネルギーの減少過程を秩序変数の発展方程式にて計算することで、組織形成過程が計算されます。したがって、PF法は、エネルギー論と速度論を合わせ持つロバストな計算理論体系を持つため、不均一で複雑な材料組織形成を極めて論理的に理解できる長所を有します。
2. イメージベース材料特性解析
PF法から、様々な材料に対する不均一な組織形態情報(時間発展も含む)が得られますので、その組織形態情報を境界条件として使用することで、イメージベースの材料特性計算が可能です。複相組織の材料特性計算法には、マイクロメカニクス分野で培われた平均場近似手法をはじめ、磁性材料におけるマイクロマグネティクス計算や、誘電体材料におけるランダウ理論を活用した手法など、様々な解析法があり、これらをPF法の組織形成シミュレーションと連携させる試みを進めています。
3. 材料組織を基軸としたAI支援材料デザイン
以上の取り組みから、材料工学における様々な分野における、材料組織形態情報および材料特性情報のデータセットが得られます。機械学習のノウハウを活用することで、材料の組織・特性解析を効率的に進めることが可能です。さらに最近のAI技術を用いると、一連の解析(プログラムの実行からデータ処理まで)をAIエージェントに代行させることも可能になりつつあります。全てのプログラムコードを自前で開発している強みを活かし、現在、以上を統合したAI支援材料デザインシステムの実現を目指しています。
